●こんなお話
聾学校で起こったセクハラ・性犯罪の話。
●感想
主人公が健常者の学校から聾学校ややってきて、ヒロインと出会いいい感じに知り合えて新しい学園生活が始まったと思っていたところ、スクールバスの後ろに行った時の衝撃のツカミから一気に100分間引き込まれました。
主人公がヒロインを救おうと先生に訴え出て、次々に生徒たちから芋づる式に明らかになってくる性犯罪。主人公はヒロインを守ろうとするけど、訴え出たせいで逆恨みされて暴力を受けたり、さらにヒロインを四六時中守れないと弱みを握られて、ヒロインを襲わない代わりに…という非道の行動とか見るのが辛いシーンの連続でした。
性犯罪やそれを隠蔽しようとするという社会問題を描いてはいますが、主人公とヒロインの恋愛ものカタキ役である先輩の背景が明らかになるサスペンスなどエンタメ映画として物語を引っ張るので退屈せずに見ることができました。主人公とヒロインの「アベンジャーズ」を見る映画デートの楽しさ、そこから一転して気まずくなる展開。カタキ役の先輩が告白する真っ白な屋上のシーンも印象的でした。被害者だけど喜んでしまう自分を「オレは変態なのか?」と悩む姿とかは斬新でした。被害性加害性、性の悩みなどが複雑に絡み合ってしまう。
主人公たちから訴えを聞いた先生が校長と話すけれど、校長は物事が大きくなることを恐れて隠そうとしたり、さらには今まで黙認していたのではないかという。どこの国でも組織は問題を隠そうとするというのがわかる何をしてもだめなのかという絶望や虚脱感に襲われる展開。校長が手話ができないのかと詰め寄る先生がよかったです。
被害者、加害者とはっきりと線引きができず。被害者が加害者に回っていく恐ろしさをまざまざと見せてくれて、「一緒に遊ぼうぜ」が怖くなる映画でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2020/12/07 東京フィルメックスオンライン
監督 | コー・チェンニエン |
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