映画【実りゆく】感想(ネタバレ)夢か家業か?吃音を抱える若者の選択と葛藤を描く長野発ヒューマンドラマ

minoriyuku
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●こんなお話

 リンゴ農家の跡を継ぐかお笑いの道へ進むか悩む若者の話。

●感想

 吃音を抱え、普段の会話では苦戦する主人公。しかし、お笑いの舞台に立つとすらすらと話せる特別な一面を持っています。母親は幼い頃に亡くなり、リンゴ農家を営む父親と二人暮らし。父親は跡を継いでほしいと願う一方で、主人公は東京でお笑い芸人になる夢を追います。

 長野県の地域色が豊かに描かれたこの作品は、芸能事務所タイタンに所属する芸人たちが多数出演しており、その裏事情も含めて温かく楽しめる映画です。主演の芸人さんも自然な好青年役を好演しています。

 ただ、父親との確執や和解、主人公の選択に納得できない展開が散見されます。特に奉納祭のクライマックスは突飛すぎて観客が戸惑うシーンも。笑っている群衆や「神様も笑ってるで」といったセリフは、リアリティに疑問が残りました。

 また、主人公の相方が嫉妬心から攻撃的になり、恋人や周囲にも悪態をつくキャラクターとして描かれますが、その行動や動機に納得感が薄く、感情移入しにくい部分がありました。

 物語は主人公の悩みと周囲の優しさが繰り返される構成で、中盤以降はやや甘やかしが過ぎて退屈に感じる場面も。さらにシリアスなシーンで流行語のギャグを挟む演出には戸惑いもありました。

 結局、主人公が選ぶ道は予想通りで、90分間の葛藤が何のためだったのかという虚しさも感じる作品でした。

☆☆

鑑賞日:2020/10/13 TOHOシネマズ川崎

監督八木順一朗 
脚本八木順一朗 
出演竹内一希(まんじゅう大帝国)
田中要次 
田中永真(まんじゅう大帝国)
橋本小雪(日本エレキテル連合)
三浦貴大 
鉢嶺杏奈 
小野真弓 
島田秀平 
山本學 
太田光(爆笑問題)
田中裕二(爆笑問題)
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