映画【サッドヴァケイション】感想(ネタバレ)

sadvacation
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●こんなお話

 子どもの時に母親に捨てられて、ヤクザの友人の知的障害の妹と同居しながら人身売買みたいな仕事をしている主人公。ビョーンビョーンとどこかの国の民族楽器のような印象的な音楽が流れる中、中国人の子どもを連れ帰ることになるところから始まる話。

●感想

 【Helpless】【EUREKA】に続く北九州サーガの3作目ですが、これ単独でも楽しめる内容だと思います。

 代行運転の仕事をしてる最中に自分を捨てた母親を見つけて、間宮運送という会社で寝食を共にすることになる。そこの社員たちはそれぞれワケありで互いに詮索せずに干渉しない。
 どこかファンタジーな会社であるけども暖かいぬくもりを感じられる世界。それはオダギリジョーさん演じる社員と主人公がサンゴ礁の高台で磁石の針がグルグル回っているところからして違う世界のおうな面白さ。

 リアルさは置かれているせいか、子どもがさらわれて社員も怪我をしても誰も心配しなかったりと、展開が強引なところがあったり気になってしまいますが。どうやらこの世界はリアルと違うらしい。
 けれど「この世に偶然はない。逢う人には逢うべくして逢うのだ」という台詞が出てくるので青山作品的リアルなドラマでもあるのかなと思いました。

 そして主人公は母親に復讐を果たすためにあることをするクライマックス。そこでもなお笑顔で接してくる母親。石田えりさんが不気味すぎです。
 映画は巨大なシャボン玉が浮遊しはじけて、見上げた人たちに水がかかる。この時の水を浴びるのが全員男。どこか暖かく優しいエンディング。あの水は母親の羊水なのかな、と思うエンディングでした。

 ただ惜しむべくは浅野忠信さんがボソボソ喋って何を言ってるのかわからず、恋人と長く話すところや梢ちゃんと話すところで復讐とはと話しているのだとシナリオを読んでやっとわかりました。
 そして田宮運送の人たちがたくさん出てくる割には描かれないので、200分くらいで全員を描いてくか。130分を主人公と母親をもっと深く描いたほうが個人的には好きでした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/09/12 Hulu

監督青山真治 
脚本青山真治 
原作青山真治 
出演浅野忠信 
石田えり 
宮崎あおい 
板谷由夏 
光石研 
斉藤陽一郎 
辻香緒里 
オダギリジョー 
高良健吾 
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