映画【ハッピーフライト】感想(ネタバレ):飛行場の舞台裏をのぞく、リアルな職業群像劇!

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●こんなお話

 空港で働く人たちの話。

●感想

 機長昇格の試験を控え、緊張しながら操縦席に座る見習いパイロット。彼の技術を厳しく評価するのは、ちょっと気難しいベテラン機長。そんな空の現場だけでなく、地上では毎朝のブリーフィングからしっかり準備するキャビンアテンダントたちや、搭乗客をうまく座席に配置したり、手荷物を間違えたお客さんを追いかけたり、飛行機が怖くて乗れない人を説得したりと、多くの空港スタッフがフル回転で働いている。

 整備士チームでは、新人が慣れないながらも懸命に作業し、時に先輩に叱られて悔しそうな表情を見せる。滑走路ではバードストライクを防ぐために空砲を鳴らして鳥を追い払うスタッフ、無線で飛行機とやりとりする管制官、風の変化を予測して安全な着陸のために分析を続ける気象スタッフなど、見えないところで支える人たちの姿が描かれていく。

 空の上では、パイロットの試験が続き、キャビンアテンダントたちも乗客の細かな要望やクレームに対応しながら、落ち込んだり、上手に切り抜けたり。それでもプロとしての対応を続けていく。

 そんな中、エンジンに赤いしみを見つけたことで異常が発覚。機体が揺れ始め、エアスピードが正常に作動しないトラブルが発生。緊急事態を宣言し、ホノルルから羽田に引き返す判断が下される。

 空港全体に緊張が走り、しかも台風が近づく中で風向きの読み合いが始まる。ベテランの気象スタッフが状況を読み解き、着陸支援を行う。そんな中、飛行機マニアが投稿したブログの写真から、ピトー管という飛行機の重要な装置にカモメが衝突していたことがわかり、原因が明らかに。最終的には、見習いパイロットが冷静に指示を出し、無事に着陸しておしまい。

 飛行機が離着陸する裏側で、さまざまなスタッフが関わっているという、普段はなかなか見ることのできない仕事の舞台裏を知ることができる映画でした。特撮映像も見応えがあり、飛行シーンの迫力とリアリティが印象に残りました。

 ストーリーとしては、パイロット昇格試験を受ける青年と、新人CAが理想と現実のギャップを知っていくという2本柱。どちらも細かな現場描写を通して職業のリアルを描いていて興味深かったです。ただ、それぞれのエピソードは興味深くても、全体としては「誰の物語なのか」がぼやけていて、ドラマとしての軸が少し弱い印象も受けたりも。

 とはいえ、ライトなコメディタッチで描かれているので、肩肘張らずに楽しめ。日常の延長として気軽に観られる、職業ものとして面白い一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2009/12/19 DVD 2023/10/22 NETFLIX

監督矢口史靖 
脚本矢口史靖 
出演田辺誠一 
時任三郎 
綾瀬はるか 
吹石一恵 
田畑智子 
寺島しのぶ 
岸部一徳 
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