●こんなお話
精神病棟に監禁された人の話。
●感想
1966年、オレゴン州ノースベンドの精神科病院の監禁病棟で、夜の静まり返った病室の中、若い患者タミーが何者かに見えない力で襲われ、無残に殺されるところから始まる。
その翌日、放火の容疑で警察に連行された若い女性クリステンがこの病院に収容され、アイリス、サラ、エミリー、ゾーイという癖のある少女たちと同じ監禁病棟で生活を送ることになるが、彼女は自分の名前以外の記憶を失っており、自分は正気であると必死に訴える。
担当医のストリンガー医師や看護師たちとの面談を受ける中で、クリステンは夜の病棟で歪んだ姿の女の影を見るようになり、それが実際に仲間たちを襲っていることに気づき始める。
やがてストリンガー医師は患者たちに催眠療法を施し、それぞれの記憶を引き出そうとするが、その直後にアイリスが地下室で謎の存在に殺されて姿を消し、クリステンは彼女のスケッチブックから「アリス・ハドソン」という名前と異形の女の絵を見つけ、この病棟に隠された過去を疑うようになる。
クリステンとエミリーは病院からの脱出を試みるが失敗し、その間にもサラが幽霊に殺され、エミリーは追い詰められて自殺し、さらにゾーイも怪異に連れ去られて命を落とすことで、病棟にはクリステンだけが残される。
逃げ込んだ医師のオフィスで、彼女はアリス・ハドソンの治療記録を発見し、8年前に誘拐され地下室に監禁されていた少女アリスが生き延びるために解離性同一性障害を発症し、ゾーイ、サラ、アイリス、エミリー、そしてクリステンという人格を生み出していたことを知る。
ストリンガー医師は実験的治療で本来のアリスを取り戻そうとしていたが、最後に残ったクリステンという人格が自我を保っていたため治療は難航しており、その直後、アリスの象徴である幽霊の姿が現れてクリステンと激しく対峙し、窓から転落する。
結果として本来の人格であるアリスが生き残り、クリステンは消滅し、アリスは両親と再会して現実の世界に戻るが、病室の棚からクリステンの人格が再び現れる暗示が示され、人間の心の闇が完全には消えてない様子でおしまい。
本作は精神病院という閉ざされた空間と、心の中に潜む恐怖を重ね合わせる構成が印象的で、ジョン・カーペンター監督らしいクラシックなホラーの空気を感じました。
ただ、怪異に襲われる場面と日常パートの落差が大きく、現実感よりも夢の中を見ているような感覚が強くなり、感情移入しにくい部分もあったと思います。
少女たちが次々と消えていく展開や、怪しい医師と抑圧的な看護師という構図はホラーの定番であり、その既視感が強いため、もう一歩踏み込んだ演出が欲しく感じられました。
クリーチャーの特殊メイクやショック演出も丁寧ではあるものの新鮮味には欠け、驚かされはするものの心に残る恐怖にはなりにくかった印象です。
それでも多重人格という設定と、ホラーを結びつけた物語の骨格自体は興味深く、心理スリラーとして観ると味わいのある一本で、カーペンター監督作品として楽しめました。
☆☆☆
鑑賞日:2011/09/18 新宿武蔵野館 2026/01/13 U-NEXT
| 監督 | ジョン・カーペンター |
|---|---|
| 脚本 | マイケル・ラスムッセン |
| ショーン・ラスムッセン |
| 出演 | アンバー・ハード |
|---|---|
| メイミー・ガマー | |
| ダニエル・パナベイカー | |
| ローラ=リー | |
| リンジー・フォンセカ | |
| ミカ・ブーレム | |
| ジャレッド・ハリス |


