映画【赤ひげ】感想(ネタバレ)

akahige
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●こんなお話

 赤ひげ先生のもとでいろんな患者を診て成長していく若い医者の話。

●感想

 主人公の若者が小石川養生所にやってくる。本人はそのつもりではなかったけど、勝手にここで働くことが決まっていて本人は不服。ここの主人の赤ひげと呼ばれる医者。

 別棟に人を何人か殺した女性が隔離されている女性がいて、主人公の部屋にその女性が逃げ出してきて彼女は男にひどい目に遭ってきたことを話す。女性は主人公に抱きついてきて気づいたら女性に両腕ロックされてかんざしで首を刺されそうになるところを赤ひげ先生に救われる。

 病人の男性は寝ていなさいと言われても働いて他の病人に稼ぎを渡したりしてみんなから心配されたり。そしてとうとうもう最期の時をむかえて、その男性が過去を語り始める回想。好きな人がいたけど、大地震で行方不明になって死んだものと思ってたら、その女性と道でばったり再会したけど子どもがいてショック。その女性が自分の家に来た時に死んでしまって、その女性を山に埋めて罪滅ぼしで貧乏長屋の人たちのために供養として頑張ってきたことが語られる。

 赤ひげについていってお殿様の診療をして贅沢な生活を怒ったり、売春宿の診療したら少女が死にそうになっていて主人から無理やり診療所に連れて行こうとしたら、男たちに止められて乱闘で倒していく赤ひげ。その少女の看病を赤ひげは主人公に任せる。

 主人公は必死に少女の看病。最初は心を開かずだったけど、しだいに喋ったりして心を開いていく。主人公の茶碗を割っちゃったとかで行方不明になった少女を探すと少女は乞食をしてお金を集めて茶碗を買いなおそうとしているのを目撃したり、主人公のお嫁さんの話になると嫉妬していじけたり。

 そして泥棒の少年と出会って見逃したりしたのをきっかけに仲良くなって、少年が良い場所に行くんだと別れを告げて、一家心中を図って主人公たちが治療をして何とか少年は助かったらしい。

 主人公の祝儀があって主人公は出世の道があったけど、この診療所で働く宣言をして貧乏するけどもという覚悟をお嫁さんに話してお嫁さんもついていくとうなずく。赤ひげは怒るけど、主人公は赤ひげのあとをついていっておしまい。 

 小石川療養所の屋根瓦が映って、佐藤勝さんの心地よいテーマ曲が流れる中、長崎で医学を学んだ若い医者がやってくる。赤ひげ先生を中心に貧しい人々を治療している養生所で、若い医者は自分の意志とは関係なく働くことに。最初は反発するけど、赤ひげ先生と患者たちの姿を見てしだいに考えが変化していく。

 3時間という長い上映時間にてんこ盛りのエピソードで様々な患者が入れ替わり立ち代わり出てきて、タイトルは赤ひげですがメインは若医者からの視点で観客と一緒になっていく構成で話が展開していきます。
 前半は患者さんや往診でのエピソード。善良な大工の悲恋。恋人と雪の中での出会い、祭りの日で再会、そのときの風鈴の音。地震で崩壊した街などの映像の圧力が凄いことになってます。日本の風景。狂女が若医者に襲いかかるときのホラー描写だったり、香川京子さんの熱演が素晴らしかったです。

 そして何と言っても後半から心を閉ざした少女、おとよのエピソード。彼女がしだいに心を開いていく展開。おとよが出会う長坊とのくだりは涙なくして見られなかったです。布団が干されてる中での別れのシーンの素晴らしさ。冒頭ではあれだけ嫌がっていた若医者が赤ひげに頼み込んで働かせてもらう変化。「もう一度言う。お前は必ず後悔する」「試してみましょう」「フン!」というあのやりとり最高でした。

 赤ひげの力強く自信を持ち優しく全てを包み込むキャラクター造形も素晴らしくて赤ひげ先生が見守ってくれていればすべてが大丈夫だと思える存在でした。病気や怪我だけを治すのではなく心も治してくれる人間賛歌の映画でした。

☆☆☆☆☆

鑑賞日:2014/02/28 DVD 2024/02/18 DVD

監督黒澤明 
脚色井手雅人 
小国英雄 
菊島隆三 
黒澤明 
原作山本周五郎 
出演三船敏郎 
加山雄三 
土屋嘉男 
江原達怡 
三戸部スエ 
七尾伶子 
野村昭子 
辻伊万里 
小川安三 
団令子 
香川京子 
藤原釜足 
根岸明美 
山崎努 
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