●こんなお話
列車爆破事件が起こって、CTUを辞めて国防総省で働いていたジャック・バウアー。案の定、首を突っ込み始めて、国防長官誘拐やら原発テロやら核ミサイルテロやら怒涛のテロを怒りながら解決していく24時間の話。
●感想
今までのシリーズではテロとは直接関係のないサイドストーリー――大統領のスキャンダルや娘の行動など――が挿入されて、やや退屈に感じる場面もあったりもしましたが、今回はそのあたりが控えめ。テロリストによる容赦ない連続攻撃がメインで描かれていて、冒頭から終盤までテンポがよく、飽きずに一気に楽しめました。
今回のシーズンは「国家を守るために、自分の大切な人を犠牲にする覚悟があるか?」というテーマが軸に。それぞれの登場人物が究極の選択を迫られる展開が続いて、見ていて感情的にも揺さぶられます。
特に印象的だったのは、次から次へと仕掛けてくるテロリストたちの攻撃に、ジャックたちが手がかりを掴むや否や即座に突撃し、時には容赦ない拷問までも辞さない姿。拷問された相手が実は無実だったりするシーンもあって、捜査の過酷さと怖さがリアルに伝わってきました。
ジャックが犯人を追うためにコンビニ強盗までしてしまうというぶっ飛んだ行動もあって、相変わらずの行動力と執念には驚かされます。CTU内では、現場突入する戦術チームと、裏で情報を操る技術チームが連携していて、両方の動きがテンポよく交差していく構成が気持ちいいです。その上をいくテロリストの知能戦や波状攻撃もスリル満点でした。
そして、ファンにはたまらないのがトニー・アルメイダの再登場。彼が画面に登場するだけで空気が変わります。これまでの主要キャラクターたちが再びCTUに集結していく流れも胸が熱くなる展開。
政府サイドではエアフォースワン絡みの大事件があり、その後に登場するローガン副大統領がとにかく問題児。的外れな判断ばかりで見ていて笑えるほどのトラブルメーカーっぷり。後半では中国政府が絡んできて、話はどんどん複雑でスケールが大きくなっていきます。
序盤に登場したテロリスト家族の息子とジャックの人質交換のくだりでは、交換後にその少年の消息が描かれず、どうなったのか気になるまま終わったのが少しモヤモヤもありつつ。ただ、物語の開始から24時間で、登場人物たちの関係性や立場が大きく変化していく様子はやっぱり『24』らしく。最後、朝焼けの中をひとり歩くジャックの姿は切なさを感じさせる終わり方でした。
今シーズンは、初期からのシリーズファンにも新規にも満足度の高い内容だったと思いました。シンプルにテロとの戦いを軸にして、スリルと人間ドラマがうまく合わさっていたと思います。
☆☆☆☆☆
鑑賞日:2014/03/29 DVD
製作総指揮 | ジョエル・サーノウ |
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ロバート・コクラン |
出演 | キーファー・サザーランド |
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キム・レイヴァー |