●こんなお話
イランで夫婦とかその家族が大変なことになる話。
●感想
物語はある夫婦の離婚の調停から始まります。奥さんは娘の教育のため海外で勉強させたいといい、夫は自分の父親がアルツハイマーでお世話をしないといけないから無理だといい。そのため奥さんは実家に帰ってしまいます。
そのため、自分と娘が昼出ている間のお世話をするために女性を雇いますが。この女性が父親を縛って、外出してしまい。そこへ夫が帰宅して、父親がベッドから落ちて怪我をしているのを見つけてお手伝いさんに怒りをぶつけて彼女を突き飛ばしてしまいます。すると後日、お手伝いさんが入院したと聞かされそこで彼女が妊婦で赤ちゃんが死んでしまったことを聞かされる。
「何故、お手伝いさんは外出したのか?」「突き飛ばされて、赤ちゃんは死んでしまったのか?」という謎を残しつつ話が展開していきます。
面白いのは、登場人物全員が言っていることが正しいと感じてしまって正解がないまま物語が展開することです。
誰もがこんな争いしたくないし、誰のためでもないしお金のためでもない。けど、保身のために負けたくない。拘束されたら家族の世話を誰がするんだ。と
お手伝いさんが信心深くて、序盤に男性の体に触れるのを嫌がりそれが教えから逸脱していないか確認をとったりしますが。それくらいの信心深さだというのを見せておいて、クライマックスで「コーランの名の下に、オレのせいで赤ん坊が死んだと誓ってくれ」という夫の言葉に動揺してしまう。
嘘をついたら自分の子どもに天罰が下るとおびえる姿はなんともいえないです。その前にシークエンスで、真実が明らかになりますが。そこでの真実を話すきっかけとなるタイミングも絶妙で素晴らしかったです。
そして、離婚する両親とどちらと暮らすのかという選択を迫られる娘。答えを出しているようですが、それはわからないまま。2人から愛情を受けているのをわかってるので、選ばなければいけないという辛さを考えるとこれまた辛いです。
イランの国情を見せつつ普遍的な家族の話でよかったです。ただ、お金が何でなくなっていたのか知りたかったです。
☆☆☆☆
鑑賞日:2012/05/26 DVD
監督 | アスガー・ファルハディ |
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脚本 | アスガー・ファルハディ |
出演 | レイラ・ハタミ |
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ペイマン・モアディ | |
シャハブ・ホセイニ | |
サレー・バヤト | |
サリナ・ファルハディ | |
ババク・カリミ |