映画【ワイルド・スピード】感想(ネタバレ):バーベキューと信頼とスピード、心に残るカーアクション

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●こんなお話

 トラックを襲撃する荒くれ者たちがいるぞ、となって夜な夜なストリートレースを繰り広げるチームに潜入捜査官が接触して彼らと行動をともにしてくうちに友情が芽生えるけど。警官としての職務とのジレンマに悩む話。

●感想

 ある意味では、非常にシンプルで豪快な展開の連続でした。潜入捜査官としてチームに加わる主人公が、違法なストリートレースに身を投じ、次第にチーム内で信頼を得ていく。冒頭から飛ばすような勢いでカーレースのシーンが始まり、スピード感あふれる映像で観客を引き込もうとする姿勢は明快。

 物語の軸には、トラック強盗事件の真相を追う警察側の捜査と、ストリートレーサーたちの仲間意識が交差しながら展開していく。敵なのか味方なのか、その境界線が揺らぐ人間関係の描写が挟まれて、物語は進行する。車と男たち、そして信頼というテーマが、大きなスケールで描かれていました。

 ただ、その中であれ?と思う部分もいくつか感じたり。個人的にはカーアクションの見せ方に、やや物足りなさを感じてしまいました。特に冒頭の紹介レースのシーンでは、リアルなレースというより、アニメのような質感を受け取ってしまい、気持ちが少し引いてしまったのも正直なところです。もっとエンジン音が身体に響くような重厚感や、路面を切り裂くような緊張感があれば、さらに引き込まれていたかもしれません。

 また、潜入捜査としての物語の説得力にも少し首をかしげてしまう場面がありました。どうして警察がこの集団を強盗の犯人と疑ったのか、なぜDVDを大量に所持しているシーンが描かれたのか、その意図が今ひとつ明確に見えてこなかったように感じます。もちろん、勢いとノリで突き進むタイプの映画として割り切ってしまえば、それもまた魅力のひとつかもしれません。

 とはいえ、ストリートでの生き様を描いた若者たちの姿や、アメリカ郊外でのバーベキューシーンなど、画面の向こうの文化に触れるような感覚も楽しく見れました。炭火を囲みながら、仲間と肉を焼く時間の描写には、思わずこちらもその輪に加わりたくなるような親近感がありました。

 荒削りな部分はあっても、男たちの絆と熱量、そして車という道具を通じて交わされる信頼の物語に触れられたことは、なかなかに得がたい体験だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2014/01/11 Blu-ray

監督ロブ・コーエン 
脚本ゲイリー・スコット・トンプソン 
エリック・バーグキスト 
デヴィット・エイヤー 
出演ポール・ウォーカー 
ヴィン・ディーゼル 
ミシェル・ロドリゲス 
ジューダナ・ブリュースター 
リック・ユーン 
チャド・リンドバーグ 
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