●こんなお話
山田悠介の小説にちなんだ名前の人たちの家族が拉致されてデスゲームに参加させられる話。
詳細ネタバレあらすじ
フリーターの田村直人は、母親の陽子と暮らしている。ある日、直人のもとに山田悠介の小説『ライヴ』が入った奇妙な小包が届く。同時に携帯電話へ母親が拉致されている映像が送られ、謎の男から電話がかかってくる。母親を助けたければ、小説『ライヴ』を手掛かりに指定されたレースを完走しろという。さらに陽子には殺人ウイルスが注射されており、直人がレースを完走できなければ命が失われると告げられる。
直人が指定場所へ向かうと、そこには同じように家族や恋人を人質に取られた参加者たちが集められていた。室田ルミ、金澤伸介、水野アカリ、小暮エイミ、桐谷リコ、江藤タマキ、安田マサヨらも、それぞれ大切な人物の命を救うためにレースへ参加する。
参加者に渡された『ライヴ』は、単なる小説ではない。そこに書かれている内容が、これからレース中に起こる出来事を予測するための攻略情報になっている。直人たちは本を読みながら走り、次に待ち受ける仕掛けを推測していく。しかし、レースには細かなルールが設定されており、それを破った参加者は容赦なく命を奪われる。直人たちは走りながら、目の前で仲間が次々と死んでいく状況に巻き込まれていく。
途中で参加者たちはビルへ入り、武器や自転車を手に入れる。しかし、そこにも新たな仕掛けが用意されていた。ボウガンレディとボウガンエンジェルがローラースケートで参加者を追いかけ、ボウガンを撃って襲撃する。さらに、建物内の仕掛けによって参加者が死亡する場面もあり、レースは単純に走力だけを競うものではなくなっていく。
直人はルミと行動をともにするようになる。ルミは自分だけが生き残ることを優先せず、ほかの参加者を助けようとする。一方、ルミには父親から暴力を受けてきた過去があり、父親への怒りを抱えている。直人は母親に迷惑をかけてきた自分自身の生活を振り返りながら、ルミたちとともにレースを進む。
しかし、参加者同士の協力関係は長く続かない。新体操の経験を持つ水野アカリがチェーンソーを手にして他の参加者を襲い始め、レースはさらに殺し合いの様相を強めていく。血が飛び散り、手足や首が切断されるなど、参加者たちは次々と命を落としていく。
やがて参加者は次々に脱落し、生き残る者は少なくなっていく。最終的に直人、ルミ、伸介の3人が残る。直人はこれまで一緒に走ってきた伸介を仲間だと考えていたが、ここで伸介の正体が明らかになる。伸介は直人たちと同じ被害者ではなく、デスレースを仕掛けた側の組織に関係する人物だった。
直人とルミは最後の舞台となる競技場へたどり着く。そこでは最後の勝負として、銃を使った殺し合いが用意されていた。直人と伸介は競技場のトラックを走りながら拳銃を撃ち合い、相手を倒そうとする。走ることと撃ち合いを同時に行い、先にゴールへ入った者が勝者になるという。
デスレースを仕掛けた人物の背景には、直人自身が過去に関わった人物たちへの復讐があったことが明らかになる。直人が子供の頃に馬鹿にした司書をはじめ、これまでの人生で直人と関わり、ひどい扱いを受けたと感じた人々が事件に関係していたとされる。
激しい銃撃戦の末、直人は最後まで走り続ける。直人もデスレースの中で銃を使用したことなどから逮捕されておしまい。
●感想
井口昇監督らしいギャグ満載の映画で、人が死んでいく場面までめちゃくちゃな演出で笑わせてくるところが面白かったです。血がブシューッと雨のように噴き出したり、首や手足がもげたり、登場人物がとんでもない状態になったりと、普通のデスゲーム映画なら深刻に描く場面を、あえて笑える方向へ振り切っています。
特に人の死に方にはかなり力が入っています。ボウガンで撃たれたり、チェーンソーで襲われたり、トラップに巻き込まれたりと、参加者が一人ずつ退場していくたびに「今度はどうやって殺すのか」と楽しめる作りになっています。死体の見せ方や血の量も含めて、井口監督の悪趣味なサービス精神が全開です。
ただ、最初から最後まで同じテンションで突っ走るため、途中から少し飽きてしまいました。血が大量に出て、手足が飛び、変な仕掛けで人が死ぬという展開が次々に続くのですが、そこに緩急がほとんどありません。一本の映画として見ると、どの場面も同じ方向へアクセルを踏み続けているように感じました。
こういう演出が好きな方にはかなり楽しめると思いますが、一つ一つの殺し方やギャグにハマれないと、次第に同じことの繰り返しに見えてしまいます。人が死ぬたびに「またこの感じか」となってしまうので、個人的にはもう少し静かな場面や人物描写を挟んでもよかったと思いました。
主人公の直人にも、あまり感情移入できませんでした。母親に迷惑をかけているフリーターという設定ですが、物語が進んでも自分勝手な印象が強く、最後まで応援したい主人公にはなりきれなかったです。
しかも、直人が人を撃ってしまったことを悩む場面がありますが、序盤から直人の行動が原因となって人が死ぬ展開があるため、「なぜここまで悩むのか」と少し引っかかりました。主人公の心理変化を描くのであれば、最初からもう少し直人の罪悪感や他人への態度を積み重ねておいてほしかったです。
デスゲームの仕組みについても気になるところがあります。これだけ大規模なレースを仕掛け、参加者を監視し、各所にトラップや刺客を配置するほどの組織なのに、警察がほとんど機能していないように見えます。参加者が拉致されている段階で、もっと早く事件が発覚してもよさそうですし、レース自体にも「こうすれば抜けられるのでは」と思ってしまう部分があります。
特に、ゲームのルールや仕掛けをもっと細かく作り込んでくれれば、さらに入り込めたと思います。デスゲーム映画では、ルールが明確であるほど「次はどう攻略するのか」という面白さが生まれますが、本作はルールの攻略よりも、どんな方法で人が死ぬのかを見せることに重点が置かれています。
その意味では、最初から最後まで「いかに人間を面白く殺すか」に特化した映画として見ると、かなり分かりやすい作品です。血が噴き出し、身体が壊れ、登場人物が次々と退場していく展開を楽しむ映画なので、ストーリーの整合性よりも井口監督の過激な映像表現を楽しむ作品だと思いました。
「次はどんなめちゃくちゃな死に方をするのか」を楽しむくらいの気持ちで見ると、独特の面白さが出てくる作品だと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2014/04/01 DVD 2026/08/09 U-NEXT
| 監督 | 井口昇 |
|---|---|
| 脚本 | 井口昇 |
| 原作 | 山田悠介 |
| 出演 | 山田裕貴 |
|---|---|
| 大野いと | |
| 森永悠希 | |
| 津田寛治 | |
| 森下能幸 | |
| 諏訪太朗 | |
| 生稲晃子 | |
| 志垣太郎 |


