映画【アベンジャーズ】感想(ネタバレ):豪華ヒーロー勢ぞろい!

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●こんなお話

 マーベルヒーローたちが集結して地球を守る話。

●感想

 当然ながら各ヒーローの単独映画を観ていないと、なかなか全体像がつかみにくい構成になっており、「いちげんさんお断り」といった印象を強く受けました。ファン向けの“お祭り映画”としての側面はあるのですが、その割に、序盤から中盤にかけてはずっと仲間集めの流れが続きます。それぞれのキャラクターの紹介も、ほとんどが会話シーンを通じて行われていて、しかもその会話が説明セリフに終始しているため、過去作を観ている私でさえ「えっ、それってどういう意味だったっけ?」と戸惑うことがしばしばありました。

 お祭り映画なのであれば、ド派手なアクションをガンガン見せて、その中でキャラクターを魅力的に描いてほしかったです。例えば登場シーンひとつ取っても、アクションで性格や背景がわかるような演出にできたはずですが、会話だけで情報を詰め込む構成になっていて、テンポが悪く、全体的に退屈な印象を受けてしまいました。

 また、序盤のいくつかのシーンは、本当に必要だったのか疑問に感じる場面もありました。もっと編集でコンパクトにできたのではないかと思います。

 その反動で、クライマックスの戦闘シーンはやはり見応えがありました。たくさんのヒーローたちが一堂に会して戦う様子は、やはりワクワクするものがあります。ただし、その戦闘にも戦略や戦術がほとんど見られず、「ただ暴れているだけ」という印象も否めません。ヒーローたちがあまりにもノープランで突撃しているため、次第に不利になっていく展開にも納得感がなく、「そりゃ押されるよね……」と冷めてしまいました。

 特に気になったのは、長く続く会話シーンのわりに、キャラクターの感情や目的がきちんと描かれていないいと思われる点です。なぜこのキャラが戦っているのか、何を大切にしているのかといった核の部分が伝わってこず、感情移入しにくかったです。

 ロキとソーの兄弟間のやりとりも、何を話しているのか曖昧なまま進んでしまいますし、ハルクが突然キレて変身するきっかけもよくわかりません。しかもその登場シーンが、なぜか原チャリで現れるというシュールさ。ブラック・ウィドウとホークアイの過去にも何か因縁があるようなのですが、それも説明セリフだけで処理されていて、いまいち心に残りませんでした。ロキがそのあたりを軽く語るシーンはあるのですが、原作コミックに思い入れがないと理解が難しい印象です。

 また、ヒーローたちが使う空飛ぶ航空母艦も、序盤ではミラーによるステルス機能で隠れていたはずなのに、あっさりと敵に見つかって撃墜されそうになる場面があり、「あの設定どこ行ったの?」と疑問を感じる展開でした。

 せっかくの夢の共演映画なのに、アイアンマンは何のために戦い、キャプテン・アメリカはどこに信念があり、ソーはなぜここにいるのか、といった動機をバッと一気に説明して、そこから一気に悪役ロキとの対決に進んでほしかったです。ヒーロー同士が喧嘩する理由や、なぜ共闘することになるのかも曖昧なまま、なんとなく喧嘩して、なんとなく仲直りしているような印象が強く、物語としてはとても退屈に感じてしまいました。

 とはいえ、唯一とても面白かったのは、エピローグのラストシーンです。あの、誰も話さず、ただただ無言でいるヒーローたちの姿が妙に味わい深くて、逆にリアリティがあり、好印象でした。あれが本編のテンションだったら、もっと好きになれたかもしれません。

☆☆☆

鑑賞日:2012/08/19 Blu-ray

監督ジョス・ウェドン 
脚本ジョス・ウェドン 
出演ロバート・ダウニー・Jr. 
クリス・エヴァンス 
マーク・ラファロ 
クリス・ヘムズワース 
スカーレット・ヨハンソン 
ジェレミー・レナー 
トム・ヒドルストン 
クラーク・グレッグ 
ステラン・スカルスガルド 
サミュエル・L・ジャクソン 
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