●こんなお話
息子たちに会いに尾道にやってきた老夫婦の話。
●感想
 老夫婦が東京へ来て、息子たちが尾道に来るというだけで。家族のむごさ、時間の流れを映し出していきます。しかし、それを悪として描くのではなく。そういう風になっているものと提示するのがこの映画の凄いところだと思いました。
 
 そして主人公の老人を演じる笠智衆さん。長男のの山村聰さんや長女の杉村春子さんとそんなに年齢がいくつも変わらないのに、あの老人感が凄かったです。
 老夫婦に対応する息子や娘たち、そして戦争で亡くなった二男の奥さん。1人1人の対応を見せていきますが、気を使い使われる関係であるがゆえに老夫婦のゆったりとした会話に泣きそうになりました。家族を構成するそれぞれの立場を説明して、その誰にでも感情移入できる。それを物語の進行と同時に見せていく。
 また小津作品独特のテンポ、登場人物が部屋を出てもしばらく映し出される映像、屋内の人物配置や小道具の配置、人物が喋りはじめると正面ショットになる独特のカット。東京観光のバスの車内での映っている人たちの動きなんかも面白いです。
 映像での説明も素晴らしく、煙突が映っていれば東京、冒頭では尾道、海と旅館で熱海。など説明台詞やナレーションがなくても映像をポンと見せるだけでわかるまさに映画でした。
 序盤、東京行の支度をする老夫婦にご近所さんが声をかける。最後に奥さんが亡くなり、ポツンと1人になって奥さんがいたところが空白になり。序盤と同じ構図で、一気に喪失感が出てました。
☆☆☆☆☆
鑑賞日:2013/01/25 Hulu
リンク
| 監督 | 小津安二郎 | 
|---|---|
| 脚本 | 野田高梧 | 
| 小津安二郎 | 
| 出演 | 笠智衆 | 
|---|---|
| 東山千栄子 | |
| 山村聡 | |
| 三宅邦子 | |
| 村瀬禪 | |
| 毛利充宏 | |
| 杉村春子 | |
| 中村伸郎 | |
| 原節子 | |
| 大坂志郎 | |
| 香川京子 | 

  
  
  
  
