●こんなお話
ヤクザのお金が強奪された事件が発生している中、バーを営んでる男の前に美人のヒロインであるファム・ファタールが現れて運命を翻弄していくという話。
●感想
ヒロインが明らかに何かを隠している中で、どこか怪しげで事情を知っていそうな刑事が現れ、大金を巡る騒動に巻き込まれていく物語がスタート。そしてヤクザの金を奪われたことで怒り心頭の男が登場。恨みを抱えた相手をただひたすら追い続ける姿が、逆に感情移入しやすかったです。
主人公にもどうやら過去があり、それに関わるヒロインが何かを知っていて…という、ストーリー展開が続く。
上映時間が90分ということもあり、物語はテンポよくサクサク進む印象です。「え、そんな急展開?」と思うようなシーンも多いのですが、その勢いこそがこの映画の魅力で。細かいツッコミは気にせず、どんどん転がっていく展開を楽しんでいるうちに、いつの間にかラストまで引き込まれてしまいます。
特に、お金を巡るドタバタの追いかけっこがユニークで、どこかコメディ的な味付けも感じられました。主人公に味方するペンションの女主人が突然ショットガンを撃ち出したり、その横にいるメガネの男性が「俺はやる!」といった感じで覚悟を決める場面は、思わず笑ってしまうような熱さとバカバカしさが同居していて最高です。
銃撃戦の迫力もすさまじく、山の中でのアクションから、なぜか最終的には商店街でめちゃくちゃに撃ち合うという展開に。予測不能な流れがクセになります。
一方で、悪徳警官がなかなかのポンコツで、彼の行動にはちょっとモヤモヤするところも。何度もチャンスがあったのに毎回ミスばかりで、「もうちょっとしっかりしてよ」とツッコミたくなる場面が多かったです。
でもラスト、そんな警官にヒロインが言い放つ「話がなげーんだよ、オッサン!」という名台詞。これがもう痛快すぎてスカッとしました。最近の“長いだけで中身が薄い映画”に対する、軽やかなアンチテーゼにも感じられて、思わず拍手を送りたくなりました。
☆☆☆
鑑賞日:2013/01/14 シネマート新宿
監督 | 門井肇 |
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脚本 | 港岳彦 |
原作 | 逢坂剛 |
出演 | 佐藤江梨子 |
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北村一輝 | |
若村麻由美 | |
三元雅芸 | |
杉本哲太 |