映画【コード211】感想(ネタバレ):街を包む銃声と日常の狭間――群像劇から一気に動き出す一日

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●こんなお話

 銀行強盗事件が発生して警官と銃撃戦して、もろもろ巻き込まれていく人たちの話。

●感想

 物語は銀行強盗が発生するまで、さまざまな人々の姿を描く群像劇の形で進んでいきます。高校生が警察署で一日体験をするという課題を通じて、アメリカならではの教育制度が紹介され、警察官の日常や、地域社会に生きる人々の風景がじわじわと積み重なっていきます。特に印象的だったのは、登場人物たちがそれぞれの事情を抱えながら日常を過ごしている姿が自然に描かれていて、平穏な空気の中にどこか不穏なものが漂っていた点でした。

 そしてあるタイミングを境に、物語は一転。銀行を襲撃するグループが街中に登場し、激しい銃撃戦が始まります。犯人たちは重装備で武装していて、彼らに立ち向かう警官たちとの応戦は迫力のあるものでした。予算規模としてはそれほど大きくない作品だと思われますが、銃撃音の響きや街中での緊張感は十分に伝わってきて、映像的には引き込まれる場面も多かったです。

 ただ、物語の冒頭で登場するインターポールの描写については、少し浮いているように感じました。犯人たちの凶悪さを印象づけるための設定かとは思いますが、国際的な捜査官が追いかけてくるというスケールの大きな展開に比べて、物語全体のトーンがローカルで地に足がついた群像劇だったため、ややちぐはぐに映ってしまいました。インターポールの女性捜査官も途中で登場はするものの、それ以上の深い関与はなく、物語にどう関わってくるのかという期待が空振りになってしまった感覚もありました。

 また、銃撃戦が長く続くことによって、最初の迫力はあるものの、しだいに単調に感じられていく側面もありました。撃って撃たれてという展開が繰り返されていくなかで、緊張感を保つ工夫がもう少しあればと思ってしまう部分もあります。特に、犯人たちがどのように包囲網を抜け出すのかというサスペンス要素を期待して観ていたのですが、実際には特に工夫なく突破を試みて撃たれていくという形だったため、やや拍子抜けしてしまいました。

 中でも印象に残ったのは、まだ若い少年が銃を手にしてしまう描写です。物語の流れ上、必要な展開だったのかもしれませんが、個人的にはその選択に対して抵抗感もありました。銃を持つという行為が軽々しく描かれると、それだけで作品全体に違和感が生じてしまうことがあるように思います。

 とはいえ、高校生が警官のパトカーに乗って一日体験をするという制度が自然に登場してくる部分など、アメリカの社会構造を垣間見る興味深い描写も多く、知らない文化を覗き見るような楽しさはしっかりとありました。群像劇としての導入や、銃撃戦の迫力など、見どころも確かにあって、アメリカの警察と社会の関係性を描こうとした意欲作だと感じました。

☆☆☆

鑑賞日: 2020/02/09 WOWOW

出演 ヨーク・アレック・シャクルトン 
出演ニコラス・ケイジ 
ウェストン・ケイジ 
ソフィー・スケルトン
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