●こんなお話
大量のコカインを奪って警官殺して逃走した犯人たちを追いかける刑事さんが何やら身内も怪しいとなる話。
●感想
重低音の響く銃撃戦や、マンハッタンのビル群と夜景の映像がとてもスタイリッシュで、派手な演出や豪華なキャストによって、ハリウッドらしいエンタメ作品に仕上がっていたと思います。都市の風景と激しいアクションの融合は、まさに映画館で体験するべき迫力。
ただ、ストーリー面では上映時間が約100分と決して長くないにもかかわらず、やや冗長に感じてしまうものでした。冒頭で描かれる主人公の少年時代や、警察官だった父親との関係が丁寧に語られたあと、強盗犯が麻薬を奪い、警官隊と激しい銃撃戦が始まる。この事件を追う刑事である主人公の視点で、物語は一晩の出来事として進んでいく。
警察内部の動きが異様に早いと登場人物たちが語るなか、正義を掲げながらも容赦なく発砲してくる警官たちの姿に違和感が生まれ、やがて物語は汚職の匂いを帯びていく。とはいえ、腐敗した警察とそれに立ち向かう刑事という構図は、これまで何度も描かれてきたテーマでもあり、どこか既視感があるものでした。
「逃亡者」や「追跡者」、「フレンチ・コネクション」など、過去の名作を思わせる展開も多く、刑事が強盗犯と向き合いながら警察内部の真実を暴こうとする構図や、マンハッタンでのカーチェイスなども、目新しさという点ではあまり感じられなかった。また、タイトルにもなっている“21の橋を封鎖せよ”という設定も、映像や展開からは強く伝わってこなかったです。
特に気になったのは、何度も繰り返される「撃てば終身刑だぞ」といった主人公の説得シーン。銃を向け合っての静かな駆け引きが何度も挟まれることで、緊張感よりも退屈さを感じてしまう部分があり。また、主人公が一人で圧倒的不利な状況を乗り切る姿もやや非現実的で、アクションのリアリティが薄れてしまったように思います。
とはいえ、物語の根底にある「権力による腐敗」の問題提起はしっかりと伝わってきて、NYPDの闇や、正義を貫こうとする個人の姿勢には考えさせられるものがあり。アクション映画としての迫力は楽しめたましたが、物語の深みや新鮮さにはもう一歩欲しかったと感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2021/04/13 TOHOシネマズ日比谷 2021/10/10 NETFLIX
監督 | ブライアン・カーク |
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脚本 | アダム・マーヴィス |
マシュー・マイケル・カーナハン |
出演 | チャドウィック・ボーズマン |
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シエナ・ミラー | |
テイラー・キッチュ | |
J・K・シモンズ | |
ステファン・ジェームズ | |
キース・デイヴィッド |