映画【座頭市 THE LAST】感想(ネタバレ):異色の座頭市が描く感情のない時代劇

Zatoichi The Last
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●こんなお話

 静かに暮らしたい座頭市だけど、ヤクザたちが絡んでくる話。

●感想

 オープニングでは、まるで座頭市とヒロインが別れたかのような描写がありますが、そこから何故か座頭市が走って戻ってきて、悲しい結末を迎えるという流れに。この展開が非常にわかりにくく、意図が読み取りにくい演出だったのがもったいなく感じました。

 それ以上に厳しかったのが、主役である座頭市というキャラクター自体にまったく魅力が感じられなかったです。驚くほど弱く描かれていて、物語に感情移入することができなかったり。やはり、座頭市には普段は無口で穏やかでも、いざとなれば仕込み杖を抜いて圧倒的な強さで悪を断ち斬る存在であってほしかったです。

 さらに、仲代達矢さんが演じるヤクザのボスも、台詞の意味がつかみにくく、何を考えているのか、何を目的に動いているのかが最後までわからない存在でした。その息子も物語上重要なポジションでありながら、性格や行動の描写が中途半端で印象に残らなかったです。

 登場人物すべてにおいて描写が薄く、感情や背景が伝わってこないのも大きな問題だと思います。たとえば、座頭市を騙してでも現状を変えたいと願う百姓の友人がいるのだが、彼の葛藤がまったく伝わってこないため、クライマックスで彼がとる行動にもまるで感情が動かなかったです。

 また、誰かが斬られても血が出ない演出にも違和感があったり。この映画に登場する人々は、まるで血の通っていない人形のようで、リアリティが感じられず。殺陣のシーンも単調で迫力に欠け、緊張感や見応えが薄かったです。

 全体的に130分という尺が長く感じられてしまい、テンポの悪さや感情の希薄さが最後までついて回った印象でした。

鑑賞日:2011/09/29 DVD

監督阪本順治 
脚本山岸きくみ 
原作子母澤寛
出演香取慎吾 
石原さとみ 
反町隆史 
工藤夕貴 
寺島進 
高岡蒼甫 
ARATA 
ZEEBRA 
加藤清史郎 
宇梶剛士 
柴俊夫 
豊原功補 
岩城滉一 
中村勘三郎 
原田芳雄 
倍賞千恵子 
仲代達矢 
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