映画【セデック・バレ 第一部 太陽旗】感想

☆☆☆☆☆

●こんなお話

 霧社事件のときの先住民の話。

●感想

 深い緑色の山の中を物凄い勢いで駆けて、台湾の大地と共に生きている先住民たち。敵対する同じ先住民もいて、彼らで首を狩って成人として認められるという文化。そして緑の映像の中に印象的な真っ赤な桜。
 映画全編を通して印象的なのは美しい歌で、何か重要な決意をするときに、戦闘シーンのときでも歌が流れます。
 縦横無尽に動くカメラワークもカッコよくて視覚的に飽きないように作られていると思いました。

 序盤30分は主人公の頭目の青年時代で、同族との戦いが描かれ、そして侵入してきた日本軍との戦いがあり。降伏して時間が流れて日本統治時代。インフラは整備されるけど、セデック族は虐げられている。主人公の頭目は、若い人たちから日本軍との戦いを決心するように迫られるけど日本軍の強さを知っていて間に挟まり苦悩します。
 セデック族にも日本人と同化しようとする人たちもいて日本人として生きる道を選んだ人たちもいたり。セデック族を見下す日本人だけでなく、彼らの文化に理解を示す安藤政信さん演じる軍人がいたり。

 自分たちのアイデンティティを否定されて日本人として生かされるように強要される。それでいて日本人に虐げれる。けれど日本軍の強さを知っているために逆らうことができない。
 「死」という概念が現代日本と違っていて死を恐れず、むしろ虹の橋の先に祖先の魂の家があると思っていて日本人を皆殺しにするクライマックス。今の教育から見ると考えられないような先住民の考え方ですが、こういう文化もあると知ることができました。
 さっきまで友人関係にあった人たちも殺していくのを見ているのが辛いです。女子どもも容赦なく殺されていきます。
 個人的に面白かったのは先住民を軽蔑してステレオタイプ的な軍人役の木村祐一さんで、こういう役はカッコ悪く退場するのかと思いきや。襲ってきたセデック族に「オレも武士の末裔だ!」と上官を逃がして自らサーベルで戦うという。結構な見せ場があったのは面白かったです。

 日本軍の強さを理解し死ぬとわかっていても立ち上がらなければならない。狩り場を守るための戦い。誇りを取り戻すための戦いを決意する主人公の頭目。その決意をしてから太陽に向かっての踊りは最高に美しかったです。

☆☆☆☆☆

鑑賞日:2013/04/27 吉祥寺バウスシアター

監督ウェイ・ダーション 
脚本ウェイ・ダーション 
出演リン・チンタイ 
マー・ジーシアン 
ビビアン・スー 
ランディ・ウェン 
安藤政信 
ルオ・メイリン 
河原さぶ 
木村祐一 
春田純一 
ダーチン 
スー・ダー 
シュー・イーファン 
ティエン・ジュン 
リン・ユアンジエ 
田中千絵 
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