●こんなお話
小学生の男の子と女の子の恋と別れの話。
●感想
小学生の夏休みのあの空気感を出していて、というよりもっと素晴らしい思い出を作り出していて。見ている人が、まるで自分が経験していたかのような懐かしい気持ちにさせてくれて切なくなる素晴らしい作品でした。
窓から入る光に照らされる机が並ぶ教室。プールサイドに仰向けに寝ながら片足を水に浸けているヒロイン、その手前に揺らめく光のポジション。
消えたかと思った奥菜恵が突如何かから逃げるように走って戻ってくるシーンのスローモーションなど。こまかなカット割りや揺れるカメラといった急激な技の応酬をここぞというところで出してくるのもさすがでした。子どもの男たちと妖艶さを秘めた女の子という設定ですが、役者さんたちも完全に演じきっていていました。
男の子は、テレビゲームや漫画の話などの友情を優先しているけど。女の子は、そんなことよりも先に進んでいる。だから、主人公の男の子はヒロインと2人きりになったときにどうしたらいいのかわからなくなる。片思いで嬉しいはずなのに、向こうのほうが全然上で遠い存在の女の子。
音楽も素晴らしく、クライマックスで打ち上げ花火を見上げる美しいシーンで流れ出すテーマソングには鳥肌です。
かけがえのない時間の一瞬を切り取っていて美しい映画でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2012/06/13 DVD
リンク
監督 | 岩井俊二 |
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脚本 | 岩井俊二 |
出演 | 山崎裕太 |
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奥菜恵 | |
反田孝行 | |
小橋賢児 |