ドラマ【地面師たち】感想(ネタバレ):地面師たちの知略と裏切りが交錯する緊迫のサスペンス

Tokyo Swindlers
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●こんなお話

 人の土地を勝手に売買して金もうけをしようとする地面師たちの話。

●感想

 物語は、ある地面師グループの一員である主人公たちが、地主になりすました人物を連れて不動産取引を進めようとするところから始まります。契約前のインタビューでは、一瞬危うい場面もありますが、地面師グループのボスがイヤホンを通じてサポートすることで無事切り抜ける。しかし、そのなりすまし役の老人は、その後トラックに轢かれて命を落としてしまいます。

 主人公は地面師グループの中でも特にボスから信頼を受けており、実は彼自身も過去に地面師によって人生を狂わされた経験が描かれる。かつて父親が詐欺に遭って自宅を焼こうとし、自ら命を絶とうとしました。その事件で家族を失い、唯一生き残った主人公は、売春婦の送迎ドライバーとして働くなかで地面師のボスと出会い、詐欺師としての道を歩むことになります。

 ある日、山手線沿線の駅近くにある寺院の土地が次のターゲットとなります。非常に価値の高い土地であり、成功すれば大金が動く大規模な詐欺計画となりますが、その難易度も高く、実行には大きなリスクが伴います。ボスはこの土地を狙う決断を下し、主人公たちはなりすまし役を探し始めます。ターゲットに選ばれたのは、難病の子どもを育てるシングルマザー。また、情報提供役のメンバーは自身の扱いに不満を抱えており、チーム内にも微妙な緊張感が漂い始めます。

 一方で、刑事はこの地面師グループを追い続けており、偶然の出来事からグループに接近。内部に潜入して捜査を進めようとしますが、地面師のボスが警察の内部協力者を持っており、刑事の動きは常に監視されている状況にあります。

 寺の住職がホストクラブに入れ込んでいるという情報を掴んだ主人公は、自らホストに扮して潜入。ナンバーワンホストを脅して住職を契約当日に沖縄旅行へと連れ出す計画を実行します。しかし、最終的な契約直前に仲間が騒動を起こし、住職が沖縄から帰ってきてしまうというアクシデントが発生します。主人公の部下が住職を引き留めようとするも失敗し、状況は緊迫の度を増していきます。

 物語が終盤に差し掛かると、実は主人公を地面師として騙した過去の人物こそが、現在のボスであったという事実が判明。主人公はボスへの憎しみをあらわにし、感情をぶつけます。しかしこのボス、実は殺人に快楽を覚えるサイコパスなのか、次々と仲間を手にかけていきます。ボスは主人公の行動すらも読み切っており、それを阻止しようと刑事も割り込んでくるなどのクライマックス。そして、地面師詐欺が世間でも大きな騒動となり、物語はおしまい。

 地面師という題材は非常にユニークで、なりすましを雇い、偽の契約を結んで利益を得るという構図はシンプルでありながら非常にスリリングでした。それぞれが専門性を持ったチームとして動き、綿密な作戦を実行していく流れは、まさに詐欺版の「オーシャンズ11」ともいえるような魅力がありました。

 ただし後半になるにつれ、ストーリーはやや荒唐無稽な展開に傾き、ボスがあまりにも万能すぎたり、殺人を次々と犯していく点などはリアリティが失われてしまった印象も受けました。特にクライマックスの現地視察シーンでは、最大の緊迫場面でありながら、「タクシーが来るか来ないか」という構図のみだったため、やや物足りなさを感じた部分もありました。

 とはいえ、詐欺師という裏社会の住人たちの人間模様、そして信頼と裏切りが交錯するサスペンスドラマとして非常に見ごたえのある作品でありました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2024/08/31 NETFLIX

監督大根仁
脚本大根仁
原作新庄耕
出演綾野剛
豊川悦司
北村一輝
小池栄子
ピエール瀧
染谷将太
松岡依都美
吉村界人
アントニー
松尾諭
駿河太郎
マキタスポーツ
池田エライザ
リリー・フランキー
山本耕史
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