ドラマ【WAVE MAKERS ~選挙の人々~】感想(ネタバレ):台湾政治のリアルと人間ドラマが交差する熱量あふれる選挙ドラマ

The Wave Makers
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●こんなお話

 台湾総統選10か月前から政党の選挙対策チームの話。

●感想

 台湾の総統選挙を舞台に、公正党の選挙対策チームが総統選挙に向けて奔走する様子を、選挙の10か月前から丁寧に描いた全8話の政治ドラマです。現実の台湾政治を背景に、登場人物たちの人間ドラマや葛藤を交えながら、熱気あふれる選挙戦の裏側を描いています。

 選挙チームの主任は仕事一筋の人物で、家庭を顧みず、妻に家事と育児を任せきりの生活を送っている。妻はその状況に限界を感じ、実家に戻ることを考えるようになります。

 また、かつて市議会議員だったメンバーは、部下たちをまとめる立場にありながら、自身も過去のトラウマを抱えている様子。政治家だった父のもとで自分も政治家の道を歩んだものの、暴行事件を起こして政治の世界から一度離れ、今は再び裏方として奮闘している。

 さらに、選挙チームの若手女性スタッフには重い過去があるみたいで。彼女は人民党の副総統候補の男性と不倫関係にあったことがあり、その際に撮影されたヌード写真が残っています。彼女は副総統候補の娘に接近し、スパイウェアを仕込んだアプリを使って、娘にその写真を見せてしまう。娘は父の不倫関係と写真の数々に衝撃を受け、さらに現在の秘書との関係にも気づき、母親に事実を告げるか葛藤。

 ドラマのクライマックスでは、この若手スタッフが顔を出してマスコミの前に立ち、自らの過去の不倫を謝罪するとともに、写真の削除を訴えます。その後、彼女は再び選挙チームに戻り、仲間とともに総統選当日まで全力を尽くしていく。

 各話では、環境問題、汚職、セクハラ、性的マイノリティの権利など、現代社会の複雑なテーマがリアリスティックに織り交ぜられています。選挙というシリアスな題材を扱いながらも、エンターテインメント性を保ち、安っぽくなることなく、見応えのある仕上がりとなっていました。

 台湾の政治の熱量と人間ドラマをバランスよく描いたこのシリーズは、政治ドラマの枠を超えて、現代社会のリアルを鋭く切り取った傑作だと感じました。

☆☆☆

鑑賞日:2024/07/25 NETFLIX

出演シエ・インシュエン
ワン・ジン
ジャグ・ファン
レオン・ダイ
チェン・イェンフェイ
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