ドラマ【ウォーキング・デッド シーズン11】感想(ネタバレ):終末世界のなかで芽生える希望と決意、長い旅路の先に見えるもの

The Walking Dead Season 11
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●こんなお話

 いろんな敵とか巨大な街とかに住んでみて案の定支配者層が酷かったり知能があるゾンビが出てきたりな話。

●感想

 終末世界を舞台にしながらも、登場人物たちの生活はすでにある程度落ち着いたものとなっていて、街の機能も復活しているなかで物語が進んでいく。今回のシーズンでは、ダリルと恋愛関係に近づいていく女性が新たに関わることになる宗教的な色合いを持った集団との対立や、巨大な都市での政治的な駆け引きなどが描かれていく。

 街を支配する知事のような存在やその取り巻きたちが何やら不穏な動きをしていて、それに気づいた主人公たちが少しずつ反旗を翻していく流れとなっていた。特に、副知事として登場する人物が交渉役として他の街と折衝を重ねていくなかで、その不気味な言動が徐々に明らかになっていく描写は印象に残りました。

 燃料や電力といったエネルギー関連の問題はほとんど描かれず、冷蔵庫があってアイスクリームを食べたり、普通に仕事に行ったりと、もはや旧世界の再現のような日常が広がっていて、終末感という点ではやや薄れてしまった印象もあったり。それでも、主人公たちがそのなかで抱える葛藤や、かつての仲間との再会などが感情の芯を保っていたのは良かったと感じます。

 街の支配者層と対立していく展開では、プロの軍人たちが相手ということもあり、主人公たちが不利な状況に置かれることになりますが、戦いは思いのほかあっさりと決着がついていく。副知事との対峙ももう少し時間をかけてじっくり描いてほしかったという思いもありましたが、要所要所で緊張感のある場面はしっかり用意されていて、手に汗握るようなシーンもいくつかありました。

 そして今シーズンの見どころのひとつとして、やはり長年の因縁となっていたニーガンとの関係性の変化が挙げられると思います。これまで幾度となくすれ違い、ぶつかり合ってきた彼との関係が、このシーズンを通して変化していく様子が丁寧に描かれていて、それぞれの立場や心情が見える演出には感情を揺さぶられる場面が多くありました。

 物語が進むにつれて、登場人物たちの内面や過去への言及も増えていき、感傷的な会話が続く場面もありましたが、長いシリーズの積み重ねがあるからこそ、そうした語りも自然と胸に響いてくるように思います。最終話では、過去の登場人物たちの姿がモンタージュとして映し出されて、思い出が一気に蘇るような構成となっていて、しんみりとした感動が残りました。

 シリーズ全体の集大成として、それぞれのキャラクターの行き着く場所が描かれていて、これまで歩んできた時間を思い返すような気持ちで見ることができたシーズンでした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2023/05/08 Disney+

出演ノーマン・リーダス
メリッサ・マクブライド
ダナイ・グリラ
ジョシュ・マクダーミット
クリスチャン・セラトス
セス・ギリアム
ロス・マーカンド
ジェフリー・ディーン・モーガン
ローレン・コーハン
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