●こんなお話
小椎命が父親に疎んじられて遠征をして制圧したり日本誕生が描かれたりする話。
●感想
兄との確執に悩む主人公が、兄の不倫現場を目撃して激高し、一度は殺そうとしますが、直前で思い直して逃がします。しかし、兄を殺したという噂が立ち、父親からは敵対する兄弟たちを討ち取るよう命じられます。
主人公は遠征軍を率いて出発し、敵側である弟からの停戦交渉を受けますが、これを拒否。結果として敵の奇襲を受け、多くの兵が命を落とす事態に。怒りに燃えた主人公は、女装して敵の祝宴に潜入し、兄を暗殺。最後は弟と一騎打ちを演じ、勝利を収めます。弟から「ヤマトタケルを名乗ってくれ」と頼まれ、名を継ぐことになります。
帰還した主人公は、すぐに次の遠征を命じられ、父に抗議しますが家臣団に阻まれてしまいます。
物語の合間には、日本神話の誕生譚が挟まれ、イザナギとイザナミが日本を創り、天照大神が岩戸に隠れてしまったため太陽が消えたという神話や、ヤマタノオロチを討伐する神話が幻想的に描かれます。宴によって天照大神を外へ誘い出すシーンは、サイケデリックな演出が印象的でした。
遠征先では、主人公が恋に落ちるエピソードも描かれますが、敵は突然恭順を示し、狩猟に誘ったかと思えば罠にかけて焼き討ちを試みます。主人公は見事に火を刀で跳ね除けますが、最終的には討ち取られてしまいます。その直後、天変地異が発生し、大地が裂け、火山が噴き上がるなどして敵兵が飲み込まれていくという壮絶なラストを迎えます。
三船敏郎と鶴田浩二による長尺の殺陣シーンは非常に見応えがあり、迫力満点。さらに、神々が集い知恵を絞って踊るシーンは、楽しい祝祭感に満ち、印象に残るビジュアルでした。
ただし、ストーリーは単調になりがちで、「オウスノミコト」と「スサノオノミコト」のエピソードが交互に挿入されるため、物語に入り込みづらく、約3時間という長尺を少々苦痛に感じる場面もありました。
☆☆
鑑賞日:2025/03/30 DVD
監督 | 稲垣浩 |
---|---|
特技監督 | 円谷英二 |
脚本 | 八住利雄 |
菊島隆三 |
出演 | 三船敏郎 |
---|---|
中村鴈治郎 | |
伊豆肇 | |
宝田明 | |
久保明 | |
東野英治郎 | |
伊藤久哉 | |
野村浩三 | |
田崎潤 | |
田中絹代 | |
司葉子 | |
平田昭彦 | |
藤木悠 | |
小杉義男 | |
向井淳一郎 | |
三島耕 | |
水野久美 | |
村田嘉久子 | |
環三千世 | |
杉村春子 | |
上田吉二郎 | |
志村喬 | |
鶴田浩二 | |
香川京子 | |
山田巳之助 | |
上原美佐 | |
瀬良明 | |
中北千枝子 | |
榎本健一 | |
有島一郎 | |
三木のり平 | |
沢村いき雄 | |
柳家金語楼 | |
乙羽信子 | |
加東大介 | |
小林桂樹 | |
朝汐太郎 | |
左卜全 | |
脇田博行 | |
村松恵子 | |
原節子 |