映画【激突!殺人拳】感想(ネタバレ):千葉真一が魅せる！非情なヒーローと奇抜な殺し屋たちのアクション劇

●こんなお話

　石油王の娘さんが誘拐されて空手拳法の達人が暗躍する話。

●感想

　冒頭から、死刑囚のもとを訪れ、いきなり戦闘になるというぶっ飛び展開で始まるこの映画。主人公はその死刑囚を脱獄させたあと、依頼主の兄妹が報酬を払わないという理由で兄と戦い、結果的にホテルから転落して兄は死亡。さらに残された妹を人身売買組織に売り飛ばしてしまうという、なかなか容赦ない非情な主人公ぶりが炸裂していました。

　その後、人身売買組織の仲介で、香港の犯罪組織から石油王の娘の誘拐を持ちかけられるが、それを拒否する主人公。だが話を聞いてしまっただけで命を狙われることに。襲い来る刺客たちを次々と倒しながら、今度は石油王の娘を守る側に回るという、目まぐるしくもスピーディーな展開に引き込まれます。

　特に、香港の組織が送り込んでくる殺し屋たちが実に楽しいです。座頭市のような盲目の仕込み杖使いに、ナイフ投げの名手、その他トリッキーなギミックを備えた刺客が続々と登場して、次はどんな敵が来るのかとワクワクさせてくれました。アクションだけでなく、個性豊かなキャラクター同士の対決が見どころ。

　クライマックスでは、フェリー上で待ち受ける刺客たちと次々に戦い、誘拐された石油王の娘を救出する。そこで終わらず、冒頭で脱獄させた死刑囚と、かつて売り飛ばした妹までもが再登場して主人公の前に立ちはだかるという、因縁が一気に集約される展開に。だがそこからあっさり終わる潔さが、逆に印象的でした。

　何より主演の千葉真一の迫力が終始すごくて。セリフを使わずとも、表情一つで怒りや悲しみ、冷酷さを表現できていて、まさに身体で語るアクション映画。全編にわたって繰り広げられる多彩なアクションシーンは、見ていてまったく飽きなかったです。ハードボイルドな展開とスタイリッシュなバトルの連続で、映画の勢いに飲み込まれるように最後まで一気に見てしまいました。

☆☆☆

鑑賞日:2022/06/01　Hulu