●こんなお話
ニューヨークへ向かう「やまと」が北極海で米軍と戦ったり、日本で総選挙が行われる話。
●感想
東京湾でアメリカ第七艦隊との緊迫した対峙を乗り越えた原子力潜水艦「やまと」は、独立国家を名乗る存在として国際社会へ自らの理念を訴えるため、国連総会が開かれるニューヨークを目指して航海を続ける。艦長の海江田四郎は軍事力による支配ではなく、自らの思想と行動によって世界に新たな価値観を示そうとしていた。
しかしアメリカ大統領ベネットは、「やまと」を国家として認める意思を持たず、巨大な軍事力を有する危険な存在として警戒を強めていた。海江田がニューヨークへ到達する前に阻止するべく、アメリカは北極海方面で迎撃作戦を展開する。舞台となるのはアメリカとロシアの境界に位置するベーリング海域だった。
アメリカは周辺海域に展開していた各国艦艇を後退させたうえで、最新鋭の原子力潜水艦「アレキサンダー」と「キング」を投入する。その指揮を執るのはベイツ兄弟であり、彼らは高性能艦と豊富な実戦経験を武器に海江田へ挑む。
流氷が広がる極寒の海域で始まる潜水艦戦は、通常の海戦とはまったく異なる様相を見せる。氷の存在によって退避経路も限られ、一瞬の判断が生死を左右する極限状態の中、「やまと」とアメリカ潜水艦隊は激しい駆け引きを繰り広げる。
海江田は冷静な分析力と大胆な発想で相手の動きを先読みし、巧みに戦場を支配していく。一方のベイツ兄弟も決して引かず、最新鋭艦の性能を最大限に引き出して攻勢を続ける。互いに譲らない攻防の末、「キング」は戦闘不能となり海中へ沈没する。そして残された「アレキサンダー」も追い詰められ、最終的には降伏という選択を余儀なくされる。
世界最強クラスの原子力潜水艦部隊を相手に勝利したことで、「やまと」の存在はさらに世界中の注目を集めることになる。
その頃、日本国内でも大きな政治的変化が起きていた。竹上首相は衆議院解散を決断し、総選挙へ踏み切る。争点となったのは海江田と「やまと」に対する政府の姿勢だった。独立国家を名乗る「やまと」をどう扱うのか、日本はアメリカとの同盟を優先するのか。それとも新たな時代の可能性を模索するのか。国民の間でも意見は大きく割れていく。
やがてベーリング海での勝利が報じられると世論は大きく動き、竹上政権への支持が高まる。選挙の結果、竹上は再び首相の座を維持し、「やまと」と向き合うための政治的基盤を確保する。
一方で海江田は歩みを止めず、国連総会出席という目的へ向かってニューヨークを目指す。しかしベネット大統領は最後まで譲歩せず、ニューヨーク湾への進入を阻止するため第二艦隊を出動させる。空母JFKを中心とした巨大艦隊が展開し、「やまと」を迎え撃つ体制を整える。
圧倒的な戦力差の中で対峙することになった海江田だったが、彼は徹底して先制攻撃を行わない方針を貫く。「やまと」は魚雷を発射せず、アクティブソナーによって自らの存在を示し続けるだけだった。それは敵を破壊するためではなく、自らに攻撃意思がないことを証明するための行動でもあった。
しかしアメリカ軍は攻撃を続行する。対潜兵器や魚雷が次々と投入される中、「やまと」は卓越した操艦技術と乗組員たちの冷静な対応によって攻撃を回避していく。海江田は一切反撃せず、沈黙の中でアメリカ側へ問いを投げかける。
やがて「やまと」は空母JFKの目前にまで到達する。圧倒的な軍事力に包囲されながらも攻撃を行わない海江田の姿勢は、次第にアメリカ側の認識にも変化をもたらしていく。
ついにベネット大統領は軍事力による解決の限界を認め、攻撃中止を命令する。そして海江田との直接対話を受け入れ、「やまと」のニューヨーク湾進入を許可する決断を下す。
こうして海江田は国連総会へ向かう道を切り開き、「やまと」という存在を世界へ問う新たな局面へ進んでいっておしまい。
前作に続いてスケールの大きな作品でしたが、やはり最大の見どころは潜水艦同士が知略を尽くして戦う北極海での海戦だったと思います。流氷に覆われた特殊な海域を舞台にした戦闘は映像的な迫力があり、巨大な軍事兵器同士が静かに相手を追い詰めていく緊張感は非常に見応えがありました。
特に潜水艦戦は派手な爆発だけでなく、音や位置情報、相手の思考を読み合う駆け引きが重要になるため、独特の面白さがあります。映像としても力が入っていて、一級のエンターテインメントとして楽しめる仕上がりだったと思います。
ただ一方で、潜水艦戦の専門用語や戦術が次々と飛び交うため、何が起きているのか理解しにくい場面も少なくありませんでした。誰が優勢なのか、どの作戦が成功したのかが瞬時には伝わりにくく、映像の迫力に対して状況把握が追いつかないこともありました。
また、戦場を取材する記者たちのエピソードも印象に残りますが、ヘリコプターで戦闘海域へ向かう流れはかなり突然で、物語の本筋とのつながりが少し分かりにくかったです。報道という視点を取り入れる意図は理解できるものの、もう少し積み重ねがあれば感情移入しやすかったかもしれません。
日本国内の政治パートについても同様で、「やまと」を支持する政治家たちの動きや「やまと保険」を提案する政治家など総選挙の展開は物語上とても重要なはずですが、前提知識がないと少し置いていかれる感覚がありました。海上での戦いが中心だと思って観ていると、急に政治劇へ比重が移るため戸惑う部分もあります。
それでも大沢たかお演じる海江田四郎の存在感は圧倒的でした。ほとんど感情を表に出さず、それでいて周囲を動かしていく姿には独特の説得力があります。敵味方を問わず相手に影響を与えていくカリスマ性は、このシリーズ最大の魅力だと感じました。
軍事アクション、政治ドラマ、国際問題を一つの物語に詰め込んだスケールの大きな作品であり、細かな部分では分かりにくさもあるものの、潜水艦映画としての迫力と映像体験は十分に楽しめる一本でした。特に北極海での海戦シーンはシリーズ屈指の見せ場であり、大画面でこそ味わいたいスペクタクルだったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2026/06/20 Amazonプライム・ビデオ
| 監督 | 吉野耕平 |
|---|---|
| 脚本 | 高井光 |
| 原作 | かわぐちかいじ |
| 出演 | 大沢たかお |
|---|---|
| 上戸彩 | |
| 津田健次郎 | |
| 中村蒼 | |
| 松岡広大 | |
| 前原滉 | |
| 渡邊圭祐 | |
| 風吹ジュン | |
| Torean Thomas | |
| Brian Garcia | |
| Dominic Power | |
| Rick Amsbury | |
| 岡本多緒 | |
| 酒向芳 | |
| 夏川結衣 | |
| 笹野高史 | |
| 江口洋介 |

