●こんなお話
オックスフォード英語辞典を作る博士と殺人犯の赦しと贖罪の話。
●感想
メル・ギブソンとショーン・ペンの熱演対決が友情ものとして見もので、2人が交錯するまでが物語の半分くらいとそれまで別々の話が進行していきます。主人公2人だけではなく、メル・ギブソンの奥さんやショーン・ペンが贖罪をする未亡人などの女性陣も主演2人以上の熱演を見せてくれて、特に未亡人役のナタリー・ドーマーさんの心の変化は難しいと思いますが、説得力あって素晴らしかったです。
世界最大の英語辞典を作るというのを見せていくのかと思いきや、それかそれ以上にショーン・ペン演じるアメリカの軍医が戦争のPTSDによって人違いで人殺しをしてしまって、精神病院に入院してそこで未亡人に年金のすべてや文字を教えるという贖罪。さらに未亡人から赦されるとわかったら、自分が殺害した旦那さんから「さらに盗んだ」と自分の今の気持ちと罪との間に苦悩するという、なかなかのヘビーな展開に比重が置かれていました。
辞書作りがうまくいかなく進まない時に、病院で辞書作りのボランティアのことを知って文字を読むときだけ追いかけられず自由になれると手紙で協力する軍医から主人公たちの交流がスタートします。辞書作りの楽しさ面白さというところではなく、殺人事件の被害者と加害者、その罪と赦しというところに重きを置かれているため。あまりメル・ギブソンがどのくらい苦労しているのとかがわかりにくかったです。英語での引用や比喩でのやりとりもネイティブな人が見たらもっと深く楽しめると思いました。
辞書作りに上司たちから妨害されて危機的状況になったりしますが、主人公の友人がすごくてかばってくれたり政治家と接点を持ってくれたりと彼の力が結構すごいのではないかと思いながら見てました。辞書作りと殺人事件やPTSD、贖罪。また当時の精神病院の治療など120分にいろんなことが詰め込みすぎなのではないかと感じてしまう120分でした。辞書作りにいよいよピンチがあってまずいとなったら友人が「秘策がある」と言っていたのがチャーチル大臣に会うことなのだろうか? とかピンチからの逆転の気持ちよさみたいなものはあまりなかったです。
それよりも人を赦すとはどういうことだろう。罪を背負って生きることってどういうことだろう? と人間の根本について見せてくれる映画でした。
☆☆☆
鑑賞日:2020/10/21 ヒューマントラスト有楽町
監督 | P・B・シェムラン |
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脚本 | P・B・シェムラン |
原作 | サイモン・ウィンチェスター |
出演 | メル・ギブソン |
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ショーン・ペン | |
ナタリー・ドーマー | |
エディ・マーサン | |
スティーブ・クーガン | |
ジェニファー・イーリー | |
ジェレミー・アーヴァイン | |
デイヴィッド・オハラ | |
ヨアン・グリフィズ | |
スティーヴン・ディレイン |