●こんなお話
殺し屋が仕事をしていたら、その場に居合わせた歌手を誤って失明させてしまったので、贖罪のため殺し屋稼業を引退しようとするけど、組織からも警察からも追われて100人くらい射殺する話。
●感想
物語は、主人公の殺し屋が仕事の依頼を受け、クラブで標的を暗殺するシーンから始まります。護衛たちを鮮やかに射殺していく中で、偶然居合わせた女性歌手が巻き添えとなり、視力を失う。
その出来事をきっかけに、主人公の中に贖罪の意識が芽生る。やがて街中で暴漢に襲われていた彼女を助けたことから二人は知り合い、やがて恋愛関係へと発展していきます。彼女のためにも「これを最後の仕事にする」と決意した主人公は、海上のボート上でターゲットを射殺。その後、警察の追跡をかわして逃走中に、主人公を狙う刺客たちの襲撃を受けますが、銃撃戦の末に撃退。
その裏で、かつての先輩であり今は引退した元殺し屋が依頼人との間を取り持っていたのですが、その依頼人が報酬を渋り、逆に主人公を消そうとしていたことが判明します。その場に偶然いた少女が負傷し、主人公は彼女を病院へ連れて行きますが、そこでも刑事たちに追跡される中、辛くも逃れます。
依頼人に裏切られたことに激怒する主人公ですが、またしても刺客が襲来し、それも撃退。その場に居合わせた刑事は、主人公が持っていたCDが歌手であるヒロインのものであることに気づき、彼女の自宅を訪れると、そこで主人公と鉢合わせに。主人公はすぐに姿を消す。
その後、刑事たちはヒロインの身辺に張り込みを始めます。主人公とヒロインが空港で会おうとしていたのですが、主人公に成りすました先輩が誤認逮捕され、刑事は上司から叱責されます。先輩を尾行していた刑事の同僚も刺客に襲撃され、激しいカーチェイスの末、意識を失う直前に主人公の居場所を伝えます。
刑事はその住所に急行し、主人公とヒロインの自宅へ。銃を向けて逮捕を試みたその瞬間、刺客の集団が襲来。主人公と刑事は協力して激しい銃撃戦を展開し、これを撃退します。
物語のクライマックスは、教会での壮絶な銃撃戦。先輩は依頼人から報酬を受け取ろうとしますが、逆に暴行される。その後、教会に現れた依頼人によって射殺されてしまい、主人公と依頼人の一騎打ちへと展開。その戦いの中で、主人公は視力を失い、ヒロインとすれ違いながら命を落とします。最後に、刑事が自首しようとする依頼人を射殺しておしまい。
本作の最大の魅力は、なんといってもジョン・ウー監督らしい華麗でエネルギッシュなアクション描写にあります。二挺拳銃による派手な銃撃、爆破の連続、そして敵がくるくる回転しながら倒れていく様子まで、まさに「カッコいい」を極めた映像美に満ちています。
男たちのアップがスローモーションで映される演出もまた、ある意味で様式美。主人公と刑事が互いに友人や仲間を失っていく中で、いつしか心を通わせ、「友だちだろ」と何度も口にするその言葉が、最初は青臭く見えても、物語の重みを増すにつれ感動的に響いてきます。
主人公たちが行動するたびに必ず銃撃戦が巻き起こり、どれもが一つひとつ印象的で迫力満点ですが、特にクライマックスの教会での戦いは、まさに問答無用のカタルシス。胸が熱くなるほどの興奮を与えてくれました。
何度観ても心が熱くなる、まさに“暑くて面白い”アクション映画の傑作。ジョン・ウー作品の中でも特に燃える、忘れられない一本でした。
☆☆☆☆☆
鑑賞日:2014/03/05 Hulu 2024/09/13 Amazonプライム・ビデオ
監督 | ジョン・ウー |
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脚本 | ジョン・ウー |
出演 | チョウ・ユンファ |
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ダニー・リー | |
サリー・イップ | |
チュウ・コン | |
ケネス・ツァン |