映画【お茶漬の味】感想(ネタバレ)

the-flavor-of-green-tea-over-rice
スポンサーリンク

●こんなお話

 地方出身の素朴な夫と夫にうんざりする上流階級出身の妻の話。

●感想

 小津調というスタイルがほぼ完成されていて、ローアングルから部屋をとらえたカット、ミディアムショットで人物をとらえて、真正面から台詞を繋いでいくカット。更には人物が部屋の手前から奥へと奥から手前へとゆっくりと移動したあとにシーンが始まる。見ていてウットリとしてしまうから不思議なリズムです。

 全体的にコミカルな展開で冒頭の奥さんと姪っ子の会話から小気味よいやりとりで全体が進んでいきます。奥さんが旦那さんを騙して友だちと旅行する展開が続き、姪っ子の見合いが上手くいかずに夫婦がぎくしゃくして口をきかなくなる。そのまま旦那さんはウルグアイへと転勤が決まって奥さん以外に見送られて飛行機に乗って行ってしまう。
 そこで初めて旦那さんがいなくなってしまい戸惑う奥さん。けどふらっと旦那さんが帰ってきて、喜ぶ奥さん。
 まさにツンデレってやつでここから一転、甘い性格になってるのが凄いです。「お茶漬が食べたい」という旦那さんに奥さんがお茶漬を作ろうとする。普段女中がしているので、どこに何があるのかわからず戸惑う2人。そこでお茶漬を食べる2人のシーン。その後は、奥さんが友だちにこんなことがあったと語るシーンに繋がるのもお見事でした。ちょっとおのろけすぎかな? とも思わなくはないですが、感動できるラストでした。

 ただ、日本の夫婦ってこんなに旦那さんがじっと耐えて全てを察して奥さんを包み込ないといけずにそんなに頼らないといけないのかな? と夫婦って大変だなと思ってしまいました。
 けど、トンカツが御馳走だったり昔のパチンコを楽しむ昭和27年当時の生活が見られるのも面白い映画で。 

 次に繋げる展開の見事さ、映像の美しさ、流れるようなリズム。小津安二郎監督の芸術がギュッと詰まった1本だと思いました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/12/13 Hulu

監督小津安二郎 
脚本野田高梧 
小津安二郎 
出演佐分利信 
木暮実千代 
柳永二郎 
三宅邦子 
津島恵子 
設楽幸嗣 
鶴田浩二 
淡島千景 
タイトルとURLをコピーしました