●こんなお話
山小屋にやってきた若者たちが恐怖体験するけれど…な話。
●感想
研究所のような場所で働く人々の様子から物語は始まる。同時進行で、若者たちが山の別荘に向かって車を走らせていて、その途中、寂れたガソリンスタンドで不気味なおじさんに忠告される。どこか古典的なホラー映画の始まりを思わせる不穏さが漂う。
山小屋に到着すると、不気味な絵画が飾られ、地下室には世界中の呪いや呪物のようなものが所狭しと並んでいた。若者の一人が好奇心から日記のようなものを読み上げてしまい、そこからゾンビ一家が復活。地獄の幕開け。
実はこの若者たちの一部始終は、研究所の職員たちによって監視されていて。彼らはガスやフェロモンを使って若者たちの行動を誘導し、その様子に一喜一憂している。これはただの偶発的ホラーではなく、周到に管理された“儀式”みたいという。
ゾンビ一家により若者の一人が殺され、生き残った者たちは山小屋に立てこもる。逃げようとキャンピングカーで山を降りるが、研究所側がトンネルを爆破して退路を絶っていた。バイクでジャンプして崖を越えようとした若者は、見えない壁に激突して無残に死亡。
キャンピングカーで作戦を練っているときにゾンビの襲撃を受け、さらに一人が死亡。車ごと湖に沈み、主人公はゾンビに襲われる。
一方で研究所の職員たちは任務完了に歓喜するが、死んだと思われていたラリッた若者がゾンビを撃退して生き残っていたことが判明。彼が主人公を救い、地下の棺桶が施設の入り口であることを突き止める。中へ進むと、そこにはさまざまな怪物が監禁されていた。
捕まりそうになった2人は怪物たちを解放。施設は怪物に蹂躙されて崩壊寸前に。さらに地下深く進むと、太古の神のような存在が現れ、世界の平和のために生贄が必要だと語られる。主人公だけが助かるという選択を迫られるが、仲間を裏切れず、逆に狼男に襲われ瀕死に。最後には神が復活し、物語はおしまい。
冒頭のタイトル演出はインパクト大。研究所の出勤風景から始まり、そこに突然タイトルがドーンと出てきて、この映画が何を描こうとしているのか全く見当がつかないまま引き込まれるものでした。
この映画は、ホラー映画の定番展開をあえてなぞり、それを裏切ることで意表を突く作りになっていて。展開の面白さ以上に、ジャンル映画への愛情が根底にある。ホラー、スプラッタ、モンスター、オカルト…それぞれの要素にリスペクトがあり、クライマックスの演出の豊かさに圧倒されました。スクリーン上ではとにかく動きの多い光景が展開し、1度では把握しきれないほどです 。
ホラーやスプラッタ映画をよく知っている人ほどニヤニヤしながら見られる作品で、「あれってあの映画のパロディかな?」と気づくたびに楽しくなりました。だからこそ退場シーンのバリエーションも豊かで、単に驚かすだけでなく楽しませる工夫が随所にあると思います。
ただし、やや広げすぎた風呂敷をどうたたむのかという点では無理やりな部分もあったり。特に警備の甘さや「なんでそこにボタンが?」というご都合展開にはツッコミたくなったり、情報を知りすぎているキャラクターにも違和感が残ります。
それでも、日本人のホラー耐性の強さをネタにした場面は笑えたし、1度目の驚きが最大の魅力であることは間違いなく。2回目以降はやや既視感で楽しさが薄れてしまう点は惜しいですが、映画愛とジャンル愛に満ちた、非常にユニークな作品でした。
☆☆☆
鑑賞日:2018/01/15 NETFLIX 2023/07/25 NETFLIX
監督 | ドリュー・ゴダード |
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脚本 | ドリュー・ゴダード |
ジョス・ウェドン |
出演 | クリステン・コノリー |
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クリス・ヘムズワース | |
アンナ・ハッチソン | |
フラン・クランツ | |
ジェシー・ウィリアムズ | |
リチャード・ジェンキンス | |
ブラッドリー・ウィットフォード | |
シガニー・ウィーバー |