映画【シュリ】感想(ネタバレ):北朝鮮の女スパイと韓国捜査官の宿命の対決!南北問題を描くアクションサスペンス映画

swiri
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●こんなお話

 韓国でテロを起こそうとする北の部隊とそれを阻止する韓国情報部員の話。

●感想

 北朝鮮で非常に過酷な軍事訓練を受ける兵士たちの姿からスタート。その中でも特に優秀な女性兵士が、ある任務のために密かに旅立つ。

 一方、韓国では軍事研究者や関係者が次々と暗殺されるという不可解な事件が続発し、韓国の主人公たちは捜査を開始します。主人公たちは武器密売人からの情報をもとに接触を試みますが、その人物は直前に暗殺されてしまう。加えて、捜査の情報がテログループ側に漏れていることが発覚し、主人公の相棒は「内部に裏切り者がいるのではないか」と疑念を抱き、主人公の車に極秘で盗聴器を仕掛けます。

 韓国軍が開発した新型爆弾「CTX」をめぐり、北朝鮮のテログループがこれを標的に。韓国軍との激しい銃撃戦の末、CTXは強奪されてしまいます。主人公側の情報が常に敵に筒抜けであるという状況が、チーム内の不信感をさらに深めていきます。

 主人公には1年前に出会った恋人がいますが、彼女はアルコール依存症に苦しんでおり、二人は静かに穏やかな時間を共に過ごしています。そんな中、テログループのリーダーが女性暗殺者に主人公の暗殺を命令。主人公は同僚と話していたところを狙撃されそうになりますが、咄嗟に同僚が庇って被弾し、暗殺は失敗に終わります。

 主人公は相棒に虚偽の報告をしてテログループを誘き出し、銃撃戦となります。リーダーをもう少しで捕らえられるという場面で再び暗殺者が登場し、リーダーと共に逃走。主人公が暗殺者を追跡する中で、正体が自分の恋人であったことが判明し、衝撃を受ける。

 主人公の職場にある水槽の中の金魚にまで盗聴器が仕掛けられていることに気づいた相棒は、主人公の恋人を直接問い詰めに行きます。しかしそこにテログループのリーダーが乱入し、相棒は命を落としてしまいます。

 相棒が残した最後のメッセージから、テログループの真の標的が南北統一記念のサッカースタジアムであることが判明。主人公は急いでスタジアムへ向かい、南北の首脳が座る席の直上に仕掛けられた爆弾の存在に気づきます。スタジアム裏手でテログループと激しい格闘の末、爆弾を間一髪で停止させます。

 さらに、首脳の暗殺を目論む恋人を主人公が止めるため、銃を向ける決断を下します。最終的に、彼は彼女を射殺することで任務を全うしておしまい。

 6年前から韓国に潜伏し、数々のテロ活動を繰り返してきた凄腕の女性工作員と、彼女を追う主人公たちの対決という構図はサスペンス性に富んでいたと思います。序盤から恋人がどのような人物なのかという伏線が張られているものの、平穏な生活を見せるシーンが丁寧に描かれており、その後の展開に深みを与えています。

 ただし、主人公たちの捜査が具体的にどのようなものなのかが曖昧な点もあり、敵に情報が漏れているという疑心暗鬼が中心に描かれるため、スパイサスペンスとしての緊張感はあるものの、やや説得力に欠ける印象も否めません。

 しかし、銃撃戦の迫力は抜群であり、特に重低音が響く銃声のリアリティは圧巻です。ただ、戦闘シーンがやや冗長で、撃つ・撃たれるだけの構成が続くと視聴者の集中力が途切れる場面も。カット割りも非常に細かく、何が起きているのかを把握しづらい場面が一部に見受けられました。

 新型爆弾を巡る攻防は、既視感のある展開ながらも、南北問題と悲恋を絡めることで独自の人間ドラマへと昇華されています。スパイアクションと悲劇的なラブストーリーが融合した本作は、ジャンルの枠を超えた魅力を持ち、十分に楽しめる作品となっておりました。

☆☆☆

鑑賞日:2012/07/13 DVD 2024/09/15 Amazonプライム・ビデオ

監督カン・ジェギュ 
脚本カン・ジェギュ 
出演ハン・ソッキュ 
キム・ユンジン 
チェ・ミンシク 
ソン・ガンホ 
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