●こんなお話
京都で侍殺しが続いていて鬼だということで平家が鬼討伐隊を組んだり、鬼を倒そうとする弁慶の話。
●感想
平家が支配する時代の荒廃した京都を舞台に、侍たちが次々と何者かに殺害される不可解な事件から物語が始まります。平家はこれを重く見て討伐隊を編成し、事態の鎮圧を図ろうとする。
その一方で、「鬼斬丸」という由緒ある刀を手にした僧兵・弁慶が、刀を狙う追手から逃れております。彼は修行時代の師である高名な僧侶と再会し、これからは「鬼を討つ」と心に誓います。
物語は進むにつれ、刀鍛冶との出会いや、「鬼」と恐れられる謎の人物が刀を集めているという情報も明らかになります。また、弁慶の行動を追う盗賊たちも登場し、緊張感が徐々に高まってまいります。
夜の五条橋では、平家の侍たちが無惨に虐殺される事件が発生。その場に弁慶も姿を現しますが、そこへ「鬼」と呼ばれる遮那王が登場し、両者は対峙。しかしこのとき、遮那王はその場を離れ、直接の戦闘にはならず。
その後、弁慶は遮那王の潜む森へと向かい、遮那王とその仲間たちに迎え撃たれますが、平家の軍勢によって弁慶は捕縛される。彼は囮として使われることになり、その場には盗賊たちも駆けつけます。しかし結局、遮那王は平家の兵を皆殺しにし、盗賊の頭領も手にかけてしまいます。弁慶も追い詰められますが、そこへ彼の師匠である高僧が現れたことで遮那王は退却。
その後、遮那王は自らの無力さを悔い、断食に入るも、仏の存在を信じるに足らずと感じ、高僧を殺害。
物語のクライマックスでは、五条橋にて弁慶と遮那王が一騎打ち。雷が鳴り響く中、二人は落雷と共に姿を消し、歴史から姿を消します。その後、遮那王の忠実な家臣2人が、「源義経」と「武蔵坊弁慶」として名を継ぎ、新たな時代を生きていくことが描かれておしまい。
このように、本作は夜な夜な平家の軍勢を斬っていく義経と弁慶の活躍を、史実に大胆なアレンジを加えながら描いており、非常にユニークな設定が魅力的です。歴史的な背景にダークファンタジー的な要素を重ねた作品となっております。
ただし、アクションシーンに関しては、過剰な編集によって動きが分かりにくく、視覚的に混乱を招く部分がありました。たった数人で大勢の敵を圧倒する描写が続くため、戦力バランスに疑問を抱いてしまう場面も。また、弁慶の強さの根拠や、どれほどの実力を持つのかといった部分がやや曖昧で、観客が感情移入しにくい点も見受けられました。
全体の上映時間が130分ということもあり、エンタメ作品としてはやや冗長で、テンポの面で間延びを感じました。
とはいえ、歴史ロマンとダークアクションを融合させた本作は、独自の世界観を持つ一作として、映像美やキャラクターの造形に見どころがある作品でございました。
☆☆
鑑賞日:2024/09/12 DVD
監督 | 石井聰亙 |
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脚本 | 中島吾郎 |
石井聰亙 |
出演 | 隆大介 |
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浅野忠信 | |
永瀬正敏 | |
岸部一徳 | |
細山田隆人 | |
國村隼 | |
勅使川原三郎 | |
光石研 | |
船木誠勝 | |
城明男 | |
鄭義信 | |
成田浬 | |
粟田麗 | |
美加理 | |
内藤武敏 | |
高橋隆大 | |
浅田修生 | |
張春祥 | |
森羅万象 | |
田中要次 | |
森下能幸 | |
石原尚大 | |
森正明 | |
井上浩 | |
伊藤信隆 | |
小西直人 | |
白岩正嗣 | |
権藤俊輔 | |
塚本耕司 | |
諏訪敦彦 | |
磯見俊裕 | |
石井育代 |