●こんなお話
のび太くんの孫の孫がドラえもんを連れてきて「のび太くんが幸せになるまで世話するように」とのび太くんの世話していってドタバタの話。
●感想
東京で暮らす小学生・野比のび太は、勉強も運動も苦手で、学校ではジャイアンとスネ夫にからかわれ、家では母親に叱られてばかりの日々を送っていた。テストでは0点を取り、野球では失敗し、何をやってもうまくいかない。そんなある日、突然部屋の机の引き出しからネコ型ロボット・ドラえもんと、のび太の子孫であるセワシが現れる。
セワシによれば、将来ののび太は会社経営に失敗し、多額の借金を抱えたまま人生を終えることになっており、その負債は子孫の代まで影響を及ぼしていた。未来を変えるため、セワシはドラえもんを送り込んだのだった。しかしドラえもんは最初からやる気があるわけではなく、「成し遂げプログラム」によって、のび太を幸せにしない限り22世紀へ帰れない状態にされていた。
こうしてドラえもんとの共同生活が始まる。ドラえもんは四次元ポケットから次々と未来の道具を取り出し、のび太を助けていく。タケコプターで空を飛び、透明マントで姿を消し、さまざまな道具を使って夢のような体験をするのび太だったが、毎回調子に乗って失敗してしまう。しずかを振り向かせようとして未来の道具を悪用し、騒動を起こして怒られる場面も続いていく。
そんなのび太が強く想いを寄せているのが、同級生の源しずかだった。優しくて人気者のしずかに対して、のび太は自信を持てず、ドラえもんの道具に頼って距離を縮めようとする。
その後、ドラえもんとのび太は未来へ向かい、大人になった自分たちの姿を見る。しずかが雪山で遭難しそうになっていることがわかり、しずかを助けるため雪山へ向かう。しかしのび太は逆にしずかに助けられることになり、遭難仕様になるところを未来ののび太に助けられる形となる。
しずかは、未来ののび太からプロポーズを受け入れる。その出来事によって未来の結婚は動き始める。その後、結婚前夜のしずかの姿も描かれる。しずかは父親に対し、「本当にこの人でいいのか不安」と打ち明ける。すると父親は、のび太は決して器用ではないが、人の痛みを理解できる優しい人間だと語る。そして、自分が苦しい時に必ずそばにいてくれる人物だと娘へ伝える。その言葉によって、しずかは結婚への迷いを断ち切る。
一方、現在ののび太は相変わらずドラえもんに頼り続けていた。ドラえもんはそんな姿に苛立ち、「このままでは一人で生きていけない」と怒りをぶつける。
そんな中、ジャイアンから「ドラえもんがいなければ何もできない」と馬鹿にされたのび太は、自分の力だけで立ち向かう決意をする。何度殴られても逃げず、ボロボロになりながら必死に立ち上がるのび太。その姿を見たジャイアンは最後には拳を止める。
ドラえもんは、その戦いを見届けたことで、のび太が少しずつ成長したと感じる。そして、ついに未来へ帰る日が訪れる。ドラえもんは涙をこらえながら別れを告げ、タイムマシンで22世紀へ帰っていく。
ドラえもんがいなくなった後、のび太は再びジャイアンに絡まれる。しかし今度は逃げず、自分一人で立ち向かおうとする。そしてドラえもんが最後に残していった道具を使ったことで、ドラえもんは再び未来から戻ってきてしまう。
再会した二人は涙を流しながら抱き合い、再び一緒に暮らし始めるのだった。でおしまい。
3DCGによって再構築されたドラえもんの世界は、最初から最後まで映像の楽しさに満ちていて、特に序盤の未来道具を次々に使っていく場面はとてもワクワクさせられました。タケコプターで空へ飛び立つ感覚や、町中を駆け回る浮遊感など、子どもの頃に想像していた「ドラえもんの世界」がそのまま立体化されたような映像体験になっていました。
のび太がしずかちゃんを振り向かせようとして未来道具を使い、毎回失敗していくドタバタもテンポが良く、昔ながらの藤子・F・不二雄作品らしいユーモアがしっかり残されていたと思います。単なるリメイクではなく、3DCGによって感情表現が細かくなったことで、のび太の情けなさやドラえもんの優しさがより伝わってきました。
また、未来の結婚式や雪山の遭難シーンを通して、「誰かを支える優しさ」が物語の中心に置かれているのも印象的でした。しずかちゃんの父親が結婚前夜に語る、「のび太くんは人の痛みがわかる人だ」という言葉は有名な場面ですが、改めて映像で観るとかなり胸にきました。不器用で失敗ばかりでも、困っている人を放っておけない。その部分こそが、のび太の最大の魅力として描かれていました。
そして終盤、ドラえもんに頼らずジャイアンへ立ち向かう場面も熱かったです。ボコボコに殴られながらも立ち上がり続ける姿は、子ども向け作品とは思えないくらい泥臭く、ドラえもんが涙ぐみながら見守る姿も含めて感動的でした。別れのシーンから再会までの流れも王道ながらしっかり泣かせにきます。
ただ、その一方で気になる部分もありました。ジャイアンとスネ夫がかなり激しくのび太をいじめる描写が多く、しかも彼ら自身には大きな成長エピソードがほとんどないため、少し役割が単調に感じました。特に終盤のジャイアンの暴力はかなり激しく、暴行事件ではないのかとの言うに感じてしまって、子ども向け作品としては驚くレベルでした。
さらに、しずかちゃんの父親が語る「のび太くん評」に関しても、映画内で描かれる現在ののび太を見ると、そこまで理想的な人物として見えるかは少し疑問も残りました。未来では成長しているのだとしても、現在の彼はかなり他力本願な部分が強く、そのギャップに戸惑うところもありました。
そして未来を変えることでジャイ子の人生が大きく変わるという設定も、改めて見るとかなり複雑です。のび太たちの幸せの裏で、ジャイ子が都合よく扱われているようにも見えてしまい、少し切ない気持ちにもなりました。
それでも、原作の名エピソードを一本の映画として再構成した完成度は高く、藤子・F・不二雄先生の物語作りの巧さを改めて実感できる作品でした。笑いと感動、友情と別れをしっかり詰め込みながら、「誰かを思いやること」の大切さを描いた映画として、多くの人の記憶に残り続ける一本だと思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2014/08/12 試写会 2020/12/04 テレビ朝日 2026/05/16 U-NEXT
| 監督 | 八木竜一 |
|---|---|
| 山崎貴 | |
| 脚本 | 山崎貴 |
| 原作 | 藤子・F・不二雄 |
| 出演(声) | 水田わさび |
|---|---|
| 大原めぐみ | |
| かかず ゆみ | |
| 木村昴 | |
| 関智一 | |
| 妻夫木聡 |


