●こんなお話
やっぱりあのマスクの殺人鬼に襲われる話。
●感想
シリーズ恒例となったオープニングは、劇中劇『スタブ』を利用した多重構造のフェイクから始まる。若者たちがホラー映画を観ながら殺人鬼ゴーストフェイスに襲われる場面が繰り返し映し出されるが、それらはすべて映画の中の映画であり、観客は何度も騙されることになる。そしてようやく本当の物語へと切り替わり、ウッズボロー高校に通うマーニー・クーパーとジェニー・ランドールのもとにゴーストフェイスから電話がかかってくる。
最初は悪質なイタズラのように思えたものの、マーニーは自宅の外で惨殺され、ジェニーも逃げ場を失った末にガレージで殺害される。こうしてウッズボローでは再び連続殺人事件が発生。
その頃、過去の惨劇を生き延びたシドニー・プレスコットは、自身の著書の宣伝ツアーの最終地として故郷ウッズボローへ帰郷していた。シドニーは保安官となったデューイ・ライリーや、その妻であるゲイル・ウェザーズと再会する。また叔母ケイトや従妹のジル・ロバーツとも久しぶりに顔を合わせる。しかし帰郷した直後に発生した殺人事件によって、シドニーは再び事件の中心人物となってしまう。
一方、ジルは友人のカービー・リードやオリヴィア・モリスたちと高校生活を送っていた。彼女たちのもとにもゴーストフェイスから脅迫電話がかかるようになり、警察は警戒を強める。しかし犯人の行動はさらに大胆になっていく。
その夜、オリヴィアの自宅が襲撃される。向かいの家から様子を見ていたジルとカービーは、窓越しにオリヴィアが惨殺される様子を目撃する。シドニーも助けに向かうが間に合わず、オリヴィアは無残な姿で発見される。その直後にはシドニー自身も襲われるが、警官たちの到着によって犯人は逃走する。
事件が続く中、ゲイルは独自に調査を開始する。高校生の映画オタクであるチャーリーとロビーから話を聞き、今回の犯人がホラー映画のリメイク作品に見られるパターンを意識していることを知る。シリーズを知り尽くした映画ファンたちは、「リメイクにはリメイクのルールがある」と語りながら事件を分析していく。
ゲイルは『スタブ』上映イベントへ潜入するが、そこでゴーストフェイスに襲われて負傷する。さらに事件は拡大し、ジルの家を警備していた警官ホスとパーキンスも殺害される。シドニーとケイトが帰宅すると、ケイトもまたゴーストフェイスに襲われて命を落とす。
物語はカービーの家で開かれる高校生たちの集まりへと向かう。そこにはジル、カービー、チャーリー、ロビー、トレヴァーらが集まっていた。しかしゴーストフェイスが現れ、ロビーが殺害されることで事態は一気に崩壊する。
シドニーも現場へ到着するが、そこで事件の真相が明らかになる。拘束されていたはずのチャーリーは実は犯人の一人であり、カービーを刺して正体を明かす。そしてもう一人の犯人は、誰よりも被害者に見えていたジルだった。
ジルは、自分がシドニーのような有名な生存者になりたかったと告白する。過去の事件を生き延びたことで注目を集め続けるシドニーに嫉妬し、自分も惨劇の生き残りとして世間から脚光を浴びたいと考えていたのである。SNSやネット文化が発達した時代において、被害者になることさえ名声につながると信じていた。
ジルは計画の仕上げとして、元恋人トレヴァーを犯人に仕立て上げる。拘束していたトレヴァーを射殺し、さらに共犯者であるチャーリーまでも殺害する。こうして事件の真相を知る人間を消し去り、自分だけが生き残るシナリオを完成させようとする。
さらにジルは自ら壁へ体当たりし、髪を引き抜き、ガラスのテーブルへ飛び込み、自分自身を痛めつける。凄惨な被害者を演じるために徹底して証拠を作り上げる姿は、この作品でも特に印象的な場面となっている。
警察が到着した時には、現場には死体が並び、ジルだけが生存者のように見える状況になっていた。計画は成功したかに思われた。
しかし病院へ運ばれた後、ジルはシドニーがまだ生きていることを知る。計画が崩れることを恐れたジルは病室へ向かい、最後の仕上げとしてシドニーを殺そうとする。
その頃、デューイはジルの発言に違和感を覚えていた。公表されていない情報を知っていたことから、彼女こそ犯人だと気付く。デューイ、ゲイル、ジュディは急いで病室へ向かう。
病院ではジルが正体を隠すことなく暴れ回り、デューイやジュディを攻撃する。しかし生きていたシドニーが反撃を開始する。除細動器を使った攻防の末、シドニーは銃を手に取る。
そして立ち上がろうとしたジルへ向けて、「オリジナルをなめるな」と言い放ち発砲する。
銃弾を受けたジルは倒れ、ウッズボローを恐怖に陥れた連続殺人事件は終息する。病院の外では報道陣がジルを英雄的な被害者として扱っていておしまい。
シリーズ恒例となったオープニングは今回も非常に楽しく、『スタブ』という劇中劇を利用した多重構造の仕掛けには思わず笑ってしまいました。どこまでが本編でどこまでが映画の中の映画なのか分からなくなる作りは、長年続いてきたシリーズだからこそ成立する遊び心であり、冒頭からしっかり楽しませてくれます。
本作ではシドニー、ゲイル、デューイというおなじみのメンバーが再集結しますが、特にシドニーのたくましさには驚かされました。かつては逃げ回る側だった彼女が、今作ではゴーストフェイス相手に真っ向から戦い、時には反撃までしてしまう姿は非常に頼もしいです。シリーズを生き抜いてきた経験がしっかり積み重なっていて、主人公としての貫禄を感じました。
また、オリジナルキャストと若い新世代キャストを同時に登場させた構成も面白かったです。かつての『スクリーム』が持っていた学園ホラーの空気を再現しながら、その中心にベテラン組を配置することで、新旧世代が自然に交差する作品になっていました。若者たちがホラー映画のルールを語り、ベテラン組が実際の惨劇を知る立場として関わる構図はシリーズならではの魅力です。
今回は「リメイク映画」をテーマにしているのも印象的でした。登場人物たち自身がリメイク作品の法則を解説しながら物語が進んでいくため、ホラー映画への愛情と皮肉が同時に味わえます。自分たちがまるで映画評論家のように分析しながら次々と事件に巻き込まれていく展開は、本シリーズらしいメタ要素の面白さが全開でした。
真犯人については、シリーズ伝統とも言える大胆な正体明かしです。緻密な推理劇というより、「今回は誰がどんな動機で暴れているのか」を楽しむ作品になっており、犯人探し以上にゴーストフェイスによる襲撃シーンそのものを楽しむ映画だと感じました。
『スタブ』シリーズの監督がロバート・ロドリゲスだったり、警官が「こういう役は真っ先に死ぬ」と自虐ネタを口にしたりと、映画好きほどニヤリとできる小ネタも満載です。ホラー映画ファンに向けたサービス精神が非常に強く、シリーズを見続けてきた人ほど楽しめる内容になっていました。
そして何より、相変わらずどこか頼りなさの残るデューイの存在が微笑ましかったです。保安官になっても完璧ではなく、それでも必死に町を守ろうとする姿は応援したくなります。新世代へのバトンタッチを意識しながらも、結局はオリジナルメンバーの存在感が抜群で、改めてこの3人の魅力を再確認できる一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2011/11/04 TOHOシネマズ南大沢 2026/06/23 U-NEXT
| 監督 | ウェス・クレイヴン |
|---|---|
| 脚本 | ケヴィン・ウィリアムソン |
| 出演 | デヴィッド・アークエット |
|---|---|
| ネーヴ・キャンベル | |
| コートニー・コックス | |
| エマ・ロバーツ |


