映画【101回目のプロポーズ SAY YES】感想(ネタバレ):上海を舞台にした愛と再会の物語

SAY YES
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●こんなお話

 美人で有名人のヒロインと冴えない中年男性の身分違いの恋の話。

●感想

 物語は日本の連続ドラマを原作とするリメイクで、舞台を上海に置き換えながらもオリジナルの魅力を失わず、むしろ異国の街並みを生かした作品に仕上がっていると思いました。最初からおおまかな展開は想像できるものの、ドラマの進行に引き込まれ、感情を揺さぶられる場面が続いていく。何より全編を通して流れる主題歌「SAY YES」の存在感が圧倒的で、メロディが響くだけで物語の感動が一層深まっていくものでした。

 物語はお見合いの手違いから始まる。偶然の出会いを果たした主人公とヒロインは、本来であれば決して交わるはずのなかった二人。美しいヒロインを前にして、自分には相手にされるはずがないと卑下する主人公。しかしデートを重ねるうちに、互いの距離は少しずつ縮まっていく。ヒロインにはかつて愛した恋人がいたが、その恋人は行方不明となり、それが彼女の心に深い傷を残していた。そんな彼女が次第に主人公に心を開いていく過程が丁寧に描かれていて、二人を取り巻く友人たちの存在も物語に温かみを与えている。

 順調に見えた二人の関係も、やがて大きな障害に直面する。それは行方不明となっていたヒロインの恋人の帰還であった。事故により記憶を失っていたという設定は、劇中の登場人物が「まるで韓流ドラマのようだ」と茶化す場面もあり、みているこちらの笑いを誘います。しかしその再会はヒロインの心を大きく揺さぶり、物語は一転して三角関係の緊張感に包まれていく。後半は展開が早まり、ダイジェストのように駆け抜けていきますが、それでもヒロインがどちらを選ぶのかに注目が集まる。

 ライバルとなる元恋人も悪人として描かれるわけではなく、むしろ真っ直ぐで誠実な人物であるため、彼が報われない姿には胸を締め付けられる思いになる。ヒロインの心の揺れに戸惑いを覚えつつも、観客としては最終的に主人公との結末を応援せずにはいられなかったです。そして二人の結びつきを見届けたとき、ストーリーを追ってきた喜びと切なさが入り混じります。

 鑑賞していて、上海という街の雰囲気を背景に、恋愛ドラマの普遍的な魅力を味わえる作品だと感じました。笑いどころも散りばめられており、恋愛の喜びや苦悩が素直に描かれていて、とても楽しむことができました。

☆☆☆

鑑賞日:2014/04/18 DVD

監督レスト・チェン 
脚本ジャン・ウェイ 
オリジナル脚本野島伸司 
出演リン・チーリン 
ホアン・ボー 
チン・ハイルー 
カオ・イーシャン 
特別出演武田鉄矢 
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