映画【サンダカン八番娼館 望郷】感想(ネタバレ)

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●こんなお話

 女性史研究をしている女性が、老人と出会う。彼女は昔からゆきさんとして外国に売られていたことを知り、一緒に生活して当時のことを聞き出していく話。

●感想

 貧しい九州の村でボルネオに売られる娘さんのおサキ。日本人街のサンダカンでは9番までの娼館があって、八番館で働くことになった主人公。丁稚奉公として働いてたけど、ある日突然、お客を取れと命令されて化粧して着物を着せられて客を取らされる。
 そこから海軍が大挙としてやってくると、一晩に30人を相手にしないといけない。だったり、現地で出来た恋人と別れたり。早くお金を貯めて日本に帰りたいと願いながらも、次から次に襲い掛かる困難。

 やっと日本に帰って実家に戻るとお兄さんはおサキさんの仕送りで建てた家に住んでいるけど、外国に売られたと世間の目があるからと汚らわしい目で見ていることを知ってしまう。村中が兄と同じ目で見ていることを知り、山奥の貧しい家で一人さびしく暮らしていく。親戚に迷惑をかけたくないからと。
 貧しい農村に生まれた1人の女性の翻弄される姿。この苦しさを見ている辛さ。

 身分を名乗らず取材をする女性が、おサキさんはなぜ女性の事を何も聞かずに自分の事だけを話すのかという問いかけに
 「誰にでも事情はある。相手が自分から話すならまだしも、何も言わないものをどうして聞くことができるのか」と答えるおサキさんの姿が熱かったです。

 晩年の老女おサキを演じた田中絹代さん、若いころのおサキを演じた高橋洋子さん、途中からの娼館の女主人おキクを演じた水の江瀧子さんが見応え十分の圧倒的な存在感が素晴らしかったです。

 外貨獲得のために売られていった娘さんたちだけど、国際社会の批判が高まったり他の方法で外貨が得られるようになると排除していく。
 日本の歴史の1つとして見なくてはいけない映画の1つだと思いました。
 わずか100年ほど前の日本でこんなことがあったのかと、本当に見てるのが辛かったです。

☆☆☆☆

鑑賞日:2014/05/03 DVD

監督熊井啓 
脚本広沢栄 
熊井啓 
原作山崎朋子 
出演栗原小巻 
高橋洋子 
田中絹代 
水の江滝子 
水原英子 
藤堂陽子 
柳川由紀子 
中川陽子 
梅沢昌代 
田中健 
小沢栄太郎
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