●こんなお話
奥さんが鉄道事故で亡くなってしまう主人公のもとに同じ電車に乗っていた学者が「事故ではなく犯人がいる」とのことでリベンジしていく話。
●感想
老人と少女の自転車についての寓話のような展開から始まり、主人公の奥さんと娘さんが戦地の主人公に電話をしていて、車が壊れたから電車へという流れになる。一方、数学者2人組が研究結果を発表しているけど、そのプレゼンが全く理解を得られなくて仕事をクビになる。
数学者が電車に乗っていてサンドイッチを捨てる男を見たり、顔にタトゥーのある男を視野に入れたりしながら、主人公の奥さんと娘が目の前に来て数学者が席を譲ったところに事故が発生して病院で数学者が席を譲った奥さんが亡くなり娘が呆然となっているところを目撃する。訃報を聞いた主人公は戦地から帰ってきて娘と過ごすけど関係はぎくしゃくしている。
数学者が事故の被害者が捕まっているギャングのリーダーに不利な証言をする男性が事故で亡くなったことを知り、彼を狙った暗殺なのではないかと疑い、すべてに確立があるという理論のもと犯人捜しを始めて、主人公のもとを訪ねて事故ではなくテロの可能性が高いということを話して、一緒に犯人捜しをしていく。
デンマークの寒そうで終始曇った映像の中、序盤は妻を亡くした夫、母を亡くした娘の喪失の暗くて重たい展開なのかと思いきや、数学者とその仲間たちが加わって犯人捜しを始めるとコメディとなって、話や雰囲気は暗いのに目の前で行われるのはコメディというかなりシュールな作風でした。それでいてアクション描写バイオレンス描写も激しくて、銃撃戦も重たい銃声が響いて人体が破壊されていくのもすごかったです。そして顔認証で数パーセント下げて似た人物を追いかけてたけど、実は…な展開とかもハリウッドのエンタメ映画とかを見慣れていると驚きの展開がよかったです。
数学者の仲間たちも心の問題を抱えていながらも目の前の激しい出来事にボケたりして能天気に過ごしていくので笑っていいのかなんなのか困ってしまって楽しかったです。シリアスな話をしていたかと思いきや、逆立ちでコーラ飲ませるとかどういう感情になればいいのかわからなかったです。
デンマークのギャング事情、そしてみんなハッキングできて情報を入手できたりとそういうデンマークの文化が気になりました。主人公たちは虐殺のような殺人を行いますが、特におとがめなしなのとかも気になってしまったりしました。
コメディとしてキャラクターがわちゃわちゃするのは楽しいですが、シリアスだったり喪失したキャラクターが立ち直ろうとする感動物語だったり、ちょっと体感時間が長く感じるところもありました。
デンマーク映画の作風なのかこの監督の特徴なのかわかりませんが、シュールすぎる作風で一体何を見ているんだろう? と戸惑う映画で不思議な感覚になる面白さがあり、そしてマッツ・ミケルセンの軍人としての銃器の扱いとかがかっこいい映画でした。
☆☆☆
鑑賞日:2022/01/26 川崎チネチッタ
監督 | アナス・トマス・イェンセン |
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脚本 | アナス・トマス・イェンセン |
出演 | マッツ・ミケルセン |
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