映画【PとJK】感想(ネタバレ):年齢を越えて惹かれ合うふたり、函館を舞台にした恋のかたち

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●こんなお話

 PとJKの夫婦の話。

●感想

 合コンパーティーの場に、少し背伸びをして現れたのは、まだ16歳の女子高生。年齢を偽って22歳と名乗り、大人たちに交じって夜の社交の空気に溶け込もうとする。その場で出会ったのが、警察官として勤務している青年。二人は最初、ぎこちなくも距離を縮めていくが、ふとしたきっかけで年齢の嘘が明らかになると、彼の態度が一変する。静かに、しかし強烈に突き放すその変化にはぞくりとさせられた。

 不良グループとの揉めごとに巻き込まれたことをきっかけに、彼から突然「結婚しよう」との提案が告げられる。高校生である彼女と、警察官である彼。無謀にも見えるこの選択に戸惑いながらも、彼女は両親を説得し、二人は本当に婚姻届を提出する。とんでもない展開の連続に、観ている側もついていくのがやっとという感覚になっていく。

 このまま禁断の恋を軸に、社会との葛藤や倫理との衝突などが描かれていくのかと思いきや、そこからの物語は意外にも落ち着いていて、婚姻関係は周囲に秘密のまま、日常の生活に溶け込んでいく。設定の強さに比べると、そのあとの展開にはややインパクトが乏しく感じられました。学校では文化祭の準備を通じて、不良グループとの距離が少しずつ縮まり、彼女も仲間に受け入れられていく。だがその矢先、母親の交際相手による家庭内暴力や、不良仲間による報復の襲撃など、主人公とは直接関係のない出来事に巻き込まれていくことが続き、物語の軸が少しずつずれていく印象もありました。

 もともとの「女子高生と警察官の結婚」という設定の持つ衝撃と、その先に生まれるはずだったテーマ性があまり深く掘り下げられていないように感じました。そのため、映画全体としての重みやテーマの明確さはやや薄まっていたかもしれません。

 ただ、舞台となる函館の街並みはとても美しく、坂道や港、歴史を感じさせる街の佇まいが印象に残ります。ですがその映像の魅力も、映画全体を支えるほどの要素としては少し物足りなく、背景を切り取るだけにとどまっていたようにも思えました。

 主演の土屋太鳳さんは、あどけなさと大人びた雰囲気の両方を行き来する難しい役どころを丁寧に演じていて、年齢を偽るキャラクターの心情に説得力を持たせていました。亀梨和也さんの抑えた演技も、特に序盤のギャップを伴う変化には緊張感があり、二人のやりとりには惹きつけられるものがありました。

 俳優二人を眺めているだけである程度は満足できるという方も多いかもしれません。ただ、それだけで終わってしまうには少し寂しさも残る作品で、もっと深く、もっと思い切った物語の掘り下げがあればという想いも残りました。

☆☆

鑑賞日:2021/05/24 NETFLIX

監督廣木隆一 
脚本吉川菜美 
原作三次マキ
出演亀梨和也 
土屋太鳳 
高杉真宙 
玉城ティナ 
西畑大吾(関西ジャニーズJr.)
江口のりこ 
川瀬陽太 
河井青葉 
古谷佳也 
高橋メアリージュン 
瀬戸利樹 
小林優斗 
松永拓野 
松本大志 
村上淳 
ともさかりえ 
大政絢 
田口トモロヲ 
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