●こんなお話
男娼が恋人と別れたり同郷の恋人がついてきちゃったりする生活の話。
●感想
中国で暮らすカップル。主人公は男娼として生計を立てていて、ある日少し危険な雰囲気を持った客につくことになる。恋人はそれを止めようとするが、主人公は聞く耳を持たずに相手をする。そして翌日、体中傷だらけで帰ってくる。怒った恋人はその客に報復するが、逆に足を折られてしまう。
それから恋人は帰ってこなくなり、主人公は心配するが、警察が家に来たのをきっかけに逃げ出してしまう。
時が流れ、主人公は以前よりもいい暮らしをしている。相変わらず男娼として生きていたが、おとり捜査に引っかかりそうになったことを機に田舎へ戻る。地元では、自分を慕ってくれていた後輩が再会を喜んで出迎える。
実家では姉夫婦や父親、病気の祖父と再会。母親の墓の前で「自分が家族を支える」と誓う場面もあるが、親戚との食事では「結婚できないのは家の恥」などと言われ、主人公の仕事が原因で責められ、またもや居場所のなさを感じてしまう。
やがて主人公は都会に戻るが、それを追って後輩もやってくる。主人公は彼の仕事や住まいを仲間に頼んで手配する。後輩は男娼の世界に入っていき、人気も出るが、主人公は自分と同じ道を歩ませたくないと葛藤する。
ある日、二人で食事をしていると、聞き覚えのある歌を路上ミュージシャンが歌っているのを耳にする。近づいてみると、それは足を折られて以降、消息を絶っていた元恋人だった。
彼は今は家族を持っているという。妻も、彼がまだ主人公を愛していることに気づいていると話す。そして、かつて一緒に過ごした日々を思い出すように、二人の楽しかった時間が静かに回想され、物語はおしまい。
全体を通して、社会の中で居場所を持ちにくい人々が、それでも仕事をして、静かに、息を詰めるように生活している様子が描かれていました。映像はとても美しく、特にクラブの内装や食事のシーンなど、ビジュアル的な面では見ごたえがありました。
ただ、会話のシーンでもカメラが左右にゆらゆらと揺れていて話に集中しづらかったり、背景の美術が凝りすぎていて人物よりそちらに目がいってしまったりと、ドラマとしてよりもビジュアル面が前面に出ていた印象も受けました。マイノリティの生きる現実にしっかり目を向けたいと思っていましたが、どこか視点が散ってしまう部分もある1本でした。
☆☆
鑑賞日:2024/03/03 WOWOW
監督 | C.B. Yi |
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脚本 | C.B. Yi |
出演 | クー・チェンドン |
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クロエ・マーヤン | |
リン・ジェーシー | |
ザック・ルー | |
バイ・ウーハン |