映画【ローレライ】感想(ネタバレ):潜水艦戦とSF要素が光る戦争映画

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●こんなお話

 太平洋戦争末期に「ローレライシステム」という視覚化するソナーを装備した日本軍の潜水艦が第3の原爆投下を阻止する話。

●感想

 物語は、広島への原爆投下直後という極限の状況から始まる。日本海軍の浅倉大佐は、次に予定される第3の原爆投下を阻止するため、極秘兵器「ローレライ・システム」を搭載した潜水艦を出撃させる。艦長に任命されたのは、かつて“腰抜け艦長”と呼ばれた男・絹見。彼の任務は、アメリカの原子爆弾運搬機B-29を迎撃することだった。

 〈伊-507〉はドイツから接収した最新鋭潜水艦で、特殊な観測装置を持つ。この装置を操るのが、女性士官パウラ。彼女は「ローレライ・システム」と呼ばれるソナーを通して敵艦を正確に察知するという、不思議な能力を持っていた。潜水艦という閉ざされた空間で、異国の女性と日本兵たちの間に流れる緊張と疑念。やがて、海中では米軍との戦闘が始まり、陸上では浅倉大佐のもう一つの真意が明らかになる。彼の目的は、原爆を止めることではなく、「日本を一度滅ぼし、そこから再生させる」という狂気じみた思想に基づくものだった。

 絹見は命令に背き、仲間とともに独自の行動を取る。艦内では浅倉派と絹見派の間で銃撃戦が起こり、極限状態の中で人間の信念がぶつかり合う。やがて〈伊-507〉は敵艦隊に包囲され、もはや逃げ場のない中で、絹見は単艦でB-29迎撃へ向かう決断を下す。パウラがローレライ・システムを全開にし、敵艦隊を突破。潜水艦が海面に浮上し、主砲を撃ち、原爆搭載機が炎上して墜落。そして米艦隊から総攻撃をうけていって物語はおしまい。

 作品は出航シーンから始まらず、最初から海原を進む潜水艦の姿を映す。その映像の密度とテンポの速さが印象的で、130分という長尺ながら一気に物語が展開していく。艦内の張り詰めた空気感、敵の爆雷が近づく音のリアリティ、そしてローレライ・システムの幻想的なビジュアルなど、映像的な完成度は高く、エンターテインメントとしても非常に見応えがありました。

 また、砲台を装備した潜水艦が急浮上して敵を砲撃する場面は特撮技術の粋を集めた見せ場で、スクリーン全体が熱気に包まれるような迫力がありました。内部で起こるクーデターの描写も緊張感があり、人間同士の対立と極限状況の心理戦が交錯していました。

 一方で、展開が非常に速いためにキャラクターの内面描写がやや薄く、彼らが死と隣り合わせにいる悲壮さや使命感の深さが十分に伝わりにくい部分もありました。特に浅倉大佐の思想や行動の背景がもう少し掘り下げられていれば、物語全体に重みが増したと思います。ただ、それでも絹見とパウラの間に芽生える信頼や、人間としての誇りをかけた戦いには確かな熱がありました。

 リアルな戦争映画というより、SF的な発想で描かれた“架空戦記ロマン”として楽しむのがこの作品の正解だと思います。荒唐無稽な設定の中にも、「戦争とは何か」「命を懸けるとはどういうことか」という普遍的なテーマが静かに息づいており、ラストの海に沈む潜水艦の姿がいつまでも記憶に残ります。

☆☆☆

鑑賞日: 2014/02/08 Hulu  2019/07/31 DVD 2025/10/12 U-NEXT

監督樋口真嗣 
脚本鈴木智 
原作福井晴敏 
出演役所広司 
妻夫木聡 
香椎由宇 
柳葉敏郎 
堤真一 
石黒賢 
佐藤隆太 
國村隼 
ピエール瀧 
小野武彦 
鶴見辰吾 
伊武雅刀 
橋爪功 
阿川佐和子 
上川隆也 

コメント

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