●こんなお話
海底にある理想郷を舞台に、善の科学者と悪の天才が怪物兵器で争う話
●感想
海底油田の調査のため南太平洋を潜水球で探検していた物理学者の田代健、海洋地質学者のジュール・マッソン、新聞記者のペリー・ロートンの三人は、突発的な海底火山の噴火に巻き込まれ遭難するが、そこへ最新鋭の謎の潜水艦アルファー号が出現し、艦長クレイグ・マッケンジーと怪力の男コーボ、女医で科学者のアン・バートンらの手によって救助される。
重傷を負ったマッソンを治療するため三人が案内されたのは、東経180度・緯度0地点の海底二万メートルに存在する理想都市「緯度0」であり、そこでは人工太陽が輝き、国籍や貧富の差、老いや病、戦争すら存在しない世界が築かれていた。緯度0には世界各国から選ばれた科学者たちが集い、人類の未来のために研究を続けていたが、その平和の裏では大きな脅威が進行していた。
かつて緯度0に所属しながらも野心と支配欲のために追放された天才科学者マリク博士は、愛人ルクレチアとともに巨大潜水艦・黒鮫号を拠点とし、合成怪物や超兵器を用いて緯度0の征服を企てていた。マリクは緯度0に招聘される予定だったノーベル賞受賞者の日本人科学者・岡田博士と娘の鶴子を誘拐し、放射能免疫血清の秘密を強要するが、岡田はこれを拒む。
マリクはさらに、失敗した部下の脳を切除して怪物グリフォンに移植するなど、非情な実験を繰り返していたが、事態を察知したマッケンジーはロートンらとともに火山島ブラッドロック島にあるマリクの基地へ向かう。彼らは特殊な科学浴槽によって一時的な超人的耐久力を得て、巨大ネズミやコウモリ人間の襲撃を突破し、岡田博士と鶴子の救出に成功する。
撤退の最中、マリクは黒鮫号からアルファー号へレーザー兵器を放とうとするが、かつて自ら怪物に変えたグリフォンの反乱によって計画は狂い、基地と黒鮫号は崩壊し、マリクとルクレチアは滅亡する。事件後、ロートンだけが地上世界へ戻されるが、緯度0の存在を示す証拠はすべて消されており、しかし後日ニューヨークの銀行に彼名義で莫大なダイヤモンドが保管されていることが判明し、緯度0の存在を静かに示唆して物語はおしまい。
冒頭の海底火山噴火の特撮は、現在の目で見ても迫力があり、当時の技術力の高さに素直に驚かされました。また、怪物グリフォンの造形には独特の味わいがあり、思わず微笑んでしまう場面もあります。
全体として物語の進行は穏やかで、美術や衣装、緯度0の都市デザインには牧歌的な魅力が感じられ、独自の世界観を丁寧に作り上げている印象を受けました。
一方で、序盤の主人公三人の遭難から黒鮫号との潜水艦戦、そして緯度0での日常描写は、展開が緩やかで好みが分かれる部分だと感じました。しかし終盤、火山島に乗り込みマリクの基地で繰り広げられる戦いに入ると雰囲気は一変し、怪獣との対決や酸の池に落ちて火傷を負う場面など、特撮映画らしい見せ場が続き、個人的には非常に印象に残る展開でした。理想郷と狂気の科学が同時に描かれる点も、本作ならではの魅力な1作だと思いました。
☆☆
鑑賞日:2025/12/22 U-NEXT
| 監督 | 本多猪四郎 |
|---|---|
| 特技監督 | 円谷英二 |
| 脚本 | 関沢新一 |
| テッド・シャーマン |
| 出演 | ジョセフ・コットン |
|---|---|
| 宝田明 | |
| 岡田眞澄 | |
| リチャード・ジャッケル | |
| 大前均 | |
| リンダ・ヘインズ | |
| 中村哲 | |
| 中山麻理 | |
| 平田昭彦 | |
| シーザー・ロメロ | |
| パトリシア・メディナ | |
| 黒木ひかる | |
| 黒部進 | |
| 関田裕 |

