●こんなお話
殺し屋ジョン・ウィックが100人くらい射殺する話。
●感想
殺し屋だけの独自ルールが支配する世界を舞台に、スタイリッシュなアクションと独特の美学が魅力の作品。その世界観は、銃のソムリエ、防弾スーツ専門の仕立て屋、殺し屋たちの間で流通する金貨など、まるで漫画やゲームのような非現実的設定で固められていて、特にこの2作目では前作以上にそのファンタジー感が強調されています。
その世界観を楽しむという点では十分に魅力的で、そうした設定に引き込まれる人にはたまらないものがありました。ただし、あまりに作り込まれたファンタジーが前面に出すぎて、逆に「この世界の一般人はどうなっているんだ?」という現実的な疑問が浮かんでしまいます。街中で銃撃戦が繰り広げられているのに、一般人はなぜ無事で、なぜ事件にならないのか? そんなノイズがどうしても気になって、アクションの爽快感に集中できない場面もあったり。
アクションシーンもどれも似たような構成で、テンポは良いが緊張感や変化に乏しく、途中で飽きがきてしまうものでした。敵を倒しては次の敵がワラワラと現れ、地面に押さえつけては撃つ…という同じパターンが繰り返されます。銃を手に入れた際に「弾は7発しかない」というセリフがあったものの、その後のシーンではまるで無限に撃っているかのような演出で、伏線が無意味に感じられたのも残念でした。
ストーリーの中心となる主人公の動機もやや曖昧で、前作にあった怒りや執念は薄れ、今回は過去に交わした誓約に縛られているだけのように見えたりも。最終的に「殺しをしてはいけない」というホテル内でのルールを破ってまで敵を倒す理由にも説得力が感じられなかったです。
とはいえ、スーツ姿で銃を構えるキアヌ・リーブスの佇まいはやはり圧倒的な存在感を放っていて、動機が薄かろうとやはり画になりました。【燃えよドラゴン】を思わせる格闘演出やシーンのオマージュには、思わず熱くなってしまう要素もあって、アクション映画好きならニヤリとできる仕掛けはしっかりありました。
総じて、リアリティを求めず“スタイリッシュ殺し屋アクション”として割り切って楽しむ分には、世界観に浸れる作品でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2017/07/10 TOHOシネマズ川崎 2018/04/09 Blu-ray
監督 | チャド・スタエルスキ |
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脚本 | デレク・コルスタッド |
出演 | キアヌ・リーブス |
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コモン | |
ローレンス・フィッシュバーン | |
リッカルド・スカマルチョ | |
ルビー・ローズ | |
フランコ・ネロ | |
ブリジット・モイナハン | |
ピーター・ストーメア | |
ジョン・レグイザモ |
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