映画【生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事】感想(ネタバレ):島田叡知事の沖縄戦前夜の奮闘を描く

shimadaakira
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●こんなお話

 沖縄戦のときの沖縄県知事についてのドキュメンタリー。

●感想

 沖縄戦直前の様子が静かに映し出される中、前任の知事や幹部たちは出張の名目で沖縄を離れる。代わりに大阪出身の島田叡が県知事として任命され、家族との別れを経て任務に就く姿が描かれる。彼の人柄や海軍の司令官との関係、娘たちとの別れの場面は、日常と戦争の境目に立つ人間の心情を静かに伝えます。

 島田知事は、軍との調整や台湾への米の支援活動を行いながら、米軍上陸という事態に備える。県民を守ることと軍に協力することという相反する使命に直面し、その苦悩が画面を通して伝わってきました。証言の中では、島田知事は当時の時代には珍しい民主主義の考えを持ち、住民に「生き延びなさい」と説いていたことが明かされる。その言葉には、強い人間性と責任感が滲み出ており、知事としての覚悟が伝わってくる。

 一方で、日本軍の行動の横暴さも浮き彫りになる。避難所にやってきて住民を追い出したり、泣く女の子や赤ちゃんに暴力を振るう場面の証言は非常に生々しく、戦争の悲惨さと住民の苦悩を痛感させられました。映像は学校の授業のような真面目さで制作されていて、視聴者に姿勢を正して見入る雰囲気を与えます。全体として、島田知事の人となりや彼の示した行動を深く知ることができる、知的で考えさせられるドキュメンタリーだったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2022/12/09 NETFLIX

監督佐古忠彦 
ナレーション山根基世 
津嘉山正種 
佐々木蔵之介 
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