映画【乙女の祈り】感想(ネタバレ):少女たちの妄想が現実を壊す

Heavenly Creatures
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●こんなお話

 女子高生2人が出会って友情を育んで2人で空想の世界に浸って、しだいに邪魔となる人を疎ましく思っていく話。

●感想

 物語は、血まみれの2人の少女が助けを求めて走るショッキングな冒頭から始まる。その後、舞台は過去へと移り、ジュリエットという聡明な転校生が登場。フランス語の授業中に先生のミスを指摘したり、物おじしない態度でクラスをかき回す存在だ。

 ポウリーンはそのジュリエットに惹かれていく。彼女は下宿屋の娘で、一方ジュリエットは女学校の学長の娘。家庭環境も立場も違う2人だが、物語への情熱や空想遊びなど、趣味嗜好がぴったりと一致することで、急速に親しくなっていく。

 2人はまるで演劇や映画のキャラクターになりきったかのようにコスプレしながら、空想の王国を作り上げていく。しかしジュリエットが結核で療養生活に入り、会えなくなったことで現実の壁が2人の関係に影を落としはじめる。

 その間、ポウリーンは下宿先の青年に夜這いをかけられる事件もあり、家庭内で大騒ぎに。さらに、2人の親密さを不安視した両親たちはカウンセリングを受けさせた結果、「同性愛的傾向がある」という診断が下る。これにより、ジュリエットの両親は離婚、そして南アフリカへの移住が決定する。

 離れたくない2人は、ポウリーンの母親を排除する計画を立ててしまう。そして山道への3人の外出中に、レンガで母親を襲撃するという衝撃的な結末で物語はおしまい。

 映画は、少女たちの空想世界と現実のギャップを、圧倒的なビジュアルで描き出していきます。冒頭からのフラッシュバック的な構成や、夢と現実が入り混じる演出には一瞬戸惑うが、物語が進むにつれてその世界観に引き込まれました。オーソン・ウェルズや往年のハリウッドスターが登場する幻想的なシーンも、2人の妄想の中の一部としてしっかり機能していると思います。

 この作品は、少女たちの親密な関係性と想像力の暴走、それが引き起こす悲劇を丁寧に描いた実録ベースのサスペンスドラマで静かで美しく、そして恐ろしい。そんな強烈な印象を残す1本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2023/12/15 DVD

監督ピーター・ジャクソン 
脚本ピーター・ジャクソン 
フランシス・ウォルシュ 
出演メラニー・リンスキー 
ケイト・ウィンスレット 
サラ・パース 
ダイアナ・ケント 
クライヴ・メリソン 
マリオ・ランザ 
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