映画【ハロウィンⅢ】感想(ネタバレ):不気味な町と謎のマスク、異色の『ハロウィン』体験

HALLOWEENⅢ SEASON OF THE WITCH
スポンサーリンク

●こんなお話

 謎の死を遂げた男性の真相を探るためにおもちゃ工場へ潜入する話。

●感想

 男が何かから逃げていて、スーツ姿の男たちが彼を執拗に追いかけてくる。逃げ切れずに病院に運ばれ、助けを求めたその男は、夜勤中の医師である主人公に診察されることになる。だがその夜、入院していた彼が突如現れたスーツの男に襲われ、目を潰されて命を落とす。驚きながらも犯人を追った主人公は、爆発する車とともに謎の男が命を落とす様子を目撃する。

 その後、亡くなった男性の娘が病院を訪ねてくる。父親は、あるおもちゃ工場を訪れたのを最後に行方がわからなくなったということで、主人公と共にその町を訪れることに。現地では近くのモーテルに泊まり、町の様子を探る。そこには同じく工場を訪れに来たという宿泊客も何組かおり、町全体がどこか異様な雰囲気に包まれていた。夕方になると全住民に部屋へ戻るよう促すアナウンスが流れ、住民たちは社長を神のように崇めているという不思議な風習も見られる。

 そんな中、急に気が合ったということで主人公と娘が距離を縮め、恋仲になる展開も描かれる。やがて、隣室に泊まっていた女性が、不思議なチップのようなものを調べていたところ、突然マスクから発せられたビームに顔面を焼かれてしまうというショッキングな事件が起こる。さらに、夜の町を歩いていた主人公が出会ったホームレスの男が、おもちゃ工場の雇用方針について不満を語っていたが、直後にスーツの男に襲われてしまう。

 工場見学を装って内部に潜入した主人公たちは、ヒロインの父親が乗っていた車を見つけ、動揺する中でヒロインがさらわれてしまう。主人公は彼女を救うため、単身工場に潜入。スーツ姿の男たちと戦うが、その正体は黄色い液体を流すアンドロイドだった。ついには捕まってしまい、社長からすべての計画を聞かされる。

 社長は、古代の伝承やストーンヘンジの力を使って、子どもたちがかぶるハロウィンマスクに細工を施し、テレビCMを通して顔面を崩壊させ、そこから毒蛇や虫を出現させるというとんでもない陰謀を語る。アンドロイドも大量生産され、周囲はすでに囲まれていた。主人公はなんとか縄を解き、ヒロインを救い出す。工場内でマスクの部品を撒き散らし、反応したアンドロイドたちが次々と停止。社長も巻き込まれて爆発が起きる。

 命からがら逃げ出す主人公とヒロインだったが、車内でヒロインが突如襲いかかってくる。戦って倒したものの、実は彼女もアンドロイドだったことが明らかになる。なんとか近くのガソリンスタンドに逃げ込み、主人公はテレビ局に連絡し、CMの放映を中止するように訴えるが、放送は続いていて、そのまま物語は終わる。

 『ハロウィン』シリーズの中でも異色の位置にある本作は、マイケル・マイヤーズが登場せず、ハロウィンの日という共通点だけで構成されている意欲作になっています。主人公は出会う女性のほとんどに色目を使い、やや奔放さが際立ちますが、それがこの作品の軽妙なリズムを生み出していた部分もあると思います。

 さらに物語には、古代ケルトの儀式やストーンヘンジといった神秘的なワードが飛び交い、どこか夢とも現実ともつかない奇妙な世界が広がっていました。おもちゃ工場の警備があまりにもあっさりしていたり、住民たちの反応が極端だったりと、突っ込みながら見る楽しさもあって、エンタメとして見応えのある一作でした。

 特殊メイクによる人体破壊描写は、1980年代ホラーらしい濃厚な演出が満載で、ビジュアル的なインパクトも大きく、ホラーファンには嬉しい部分だと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2022/09/14 U-NEXT

監督トミー・リー・ウォーレス 
脚本トミー・リー・ウォーレス 
製作ジョン・カーペンター 
デブラ・ヒル 
出演トム・アトキンス 
ステイシー・ネルキン 
ダン・オハーリヒー 
マイケル・カリー 
ラルフ・ストレイト 
タイトルとURLをコピーしました