●こんなお話
ゴジラが復活して静岡の原発や東京新宿を襲撃してゴジラ対策に走り回る若者たちや、米国やソ連が戦術核兵器を使おうとしたりして総理大臣をはじめとする政府関係者たちの話。
●感想
漁船が何かに襲われ、その現場に記者が駆けつける。乗組員たちは巨大なフナ虫に襲われて死んでおり、唯一の生存者がゴジラの襲撃を語る。驚くべきことに、ゴジラに寄生するフナ虫に人間が襲われていたことも判明する。
記者はこの衝撃的な事実を記事にしようとするが、周囲から止められてしまう。やがて博士のもとへ向かい、そこでゴジラの研究に取り組む博士の娘や、その娘の兄が唯一の生存者で隔離されていることを知る。妹は兄に会いに行き、その感動的な再会を記者は写真に収めて記事にしようと動き出す。
ゴジラは原発を襲い、放射性物質を吸収する。博士は渡り鳥を追うゴジラの帰巣本能に着目し、火山の三原山へ誘導する作戦を立案。爆弾を仕掛けるが、同時にアメリカとソ連は核兵器使用を迫り、日本の総理は信念を貫いてそれを阻止しようと奔走する。
やがてゴジラは上陸し、新宿へ進行。自衛隊が阻止を試みるものの、新宿の首都防衛機スーパーXとの攻防戦となる。博士たちは誘導装置を完成させるが、ゴジラの破壊でビルに閉じ込められ危機に陥るも、自衛隊のヘリにより救出される。そして三原山で装置を作動させた結果、ゴジラは火山の中へ落下し、物語は幕はおしまい。
映画のタイトルであるゴジラの登場は全体の100分中15分ほどで、もっと頻繁に見たかったというフラストレーションは残りました。クライマックスの新宿でのスーパーXとの戦いも迫力に欠け、やや物足りなさを感じたり。
ストーリーは総理大臣をはじめとした政府関係者が米ソ冷戦の狭間で苦悩する姿や、ゴジラを研究する博士、その娘と記者の淡い恋模様を描いています。だが、主人公である記者の存在感は薄く、最後まで彼が本当に主人公なのか疑問が残りました。序盤でヒロインの娘に特ダネのネタ元として接近し嫌われるが、急に恋愛関係に発展する展開も唐突に感じられたり。むしろ武田鉄矢さん演じるホームレスの方が魅力的でした。
展開は遅く、ゴジラの登場も少なく感じたり。リアリティを追求しつつも、避難命令が出ているのに新幹線が平然と走っているなど、整合性の甘さが気になりました。スーパーXやメーサー車といった新兵器の登場もあり、リアルさとSF的要素が混在している印象的でした。ソ連の核攻撃の危機が迫る中でも街には民衆が普通にいるシーンや、原発に現れたゴジラを霧で発見できない自衛隊の間抜けさが逆に目立ってしまいます。
しかし、スーパーXのデザインはかっこよく、カドミウム弾を使った攻撃や弾切れ後の通常兵器での足止めシーンは熱かったです。政府の重厚な役者陣も、小林桂樹さん、小沢栄太郎さん、金子信雄さん、加藤武さん、佐藤慶さん、鈴木瑞穂さんらが重厚な演技でゴジラ対策に迫る姿は見応えがありました。
全体的に題材も役者も素晴らしいだけに、もう少しゴジラの登場や戦闘シーンの迫力があれば、もっと満足できた映画でした。
☆☆☆
鑑賞日:2014/04/05 Blu-ray 2023/12/12 Hulu
監督 | 橋本幸治 |
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特技監督 | 中野昭慶 |
脚本 | 永原秀一 |
出演 | 小林桂樹 |
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田中健 | |
沢口靖子 | |
宅麻伸 | |
夏木陽介 | |
内藤武敏 | |
武田鉄矢 | |
小沢栄太郎 | |
鈴木瑞穂 | |
織本順吉 | |
御木本伸介 | |
森幹太 | |
金子信雄 | |
山本清 | |
加藤武 | |
田島義文 | |
村井国夫 | |
小泉博 | |
佐藤慶 | |
森本毅郎 | |
林家しん平 | |
石坂浩二 |