映画【三大怪獣 地球最大の決戦】感想(ネタバレ):ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ――4大怪獣が交差する伝説の一作

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●こんなお話

 金星を滅ぼしたキングギドラが日本滅ぼすぞってんで、モスラがゴジラとラドンを説得して怪獣プロレス全開の話。

●感想

 ある王国の王女が日本へ向かう飛行機に乗っていたところ、突如爆破事件が発生。その混乱の中で王女は行方不明となってしまう。事件の背後には何があるのか。捜査を担当する警視庁の刑事は、まもなく路上で奇妙な女性と出会うことになる。ボロボロの服をまとい、どこか異世界を見てきたかのような視線で、「間もなくキングギドラが現れて地球は滅ぶ」と警告する彼女。彼女の言葉は妄言なのか、それとも予言なのか。興味を抱いた刑事は彼女を保護し、身元を調べるうちに、王女とそっくりな容貌を持っていることに気づく。

 一方で、地球各地では異常気象が発生。冬のはずなのに真夏のような気候になり、謎の隕石が落下したり、正体不明の暗殺者が次々と現れたりと、日常がゆっくりと非日常に染まっていく。記憶を失ったまま言葉を発する女性、謎の宗教団体のような存在、暗躍する殺し屋たち、そして伝説の怪獣たちの動きが連動するように描かれていく。

 やがて目覚めるゴジラとラドン。巨大な力を持つ怪獣たちが人間社会に介入していく一方で、かつてない存在感を放ちながらキングギドラが登場する。三つの首を持ち、無数の雷のような光線を吐いて、空中から都市を破壊していく様子にはただ圧倒される。ゴジラとラドンがぶつかり合う最中、そこに登場するのがモスラの幼虫。モスラは敵味方の怪獣たちの間に割って入り、争いをやめるようにと説得を始める。

 そのシーンは本作を象徴する名場面のひとつで、モスラの声を小美人が通訳しながら、「ゴジラはこう言っています」「ラドンはこう返しています」と淡々と解説する様子が不思議な迫力を持って胸に残りました。怪獣たちが言葉を交わし、理解しようとしているという描写に、どこか詩的な余韻が生まれていたように思います。

 特撮としての見どころも豊富で、とりわけキングギドラの映像表現には目を奪われました。三本の首が独立して動き、金色の鱗が光を受けて揺らめくような姿に見入ってしまい、引力光線で街を焼き尽くす描写もどうやって撮影されたのかと驚きながら見ていました。ラドンの背中に乗って移動するモスラの姿なども、アイデアと実現力の高さがうかがえて、4大怪獣が一斉に入り乱れる終盤のバトルは純粋にワクワクする映像でした。

 ただ、個人的にはゴジラが岩をぽこぽこと投げつける攻撃をしていた姿が印象的で、なんとも可愛らしく見えつつ、少し切ない気持ちにもなってしまいました。力強くもどこか人間味のある動きが、時代の中で形作られてきたゴジラ像を感じさせます。

 人間側の物語としては、王女と刑事の関係性や、記憶の混濁の中で自分を取り戻していく描写が丁寧に積み重ねられていて、王道のSF冒険劇としてしっかりと成立していたように思います。恋愛や信頼、国家的な陰謀といった要素がアクションに絡まりながら、物語はテンポよく進んでいくため、90分という時間があっという間に過ぎていきました。

 全体を通して、怪獣映画でありながら人間ドラマもしっかり描かれていて、観ていて飽きない構成だったと感じます。特撮の魅力とストーリーテリングがバランスよく両立していて、今なお記憶に残る作品でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2014/06/21 DVD

監督本多猪四郎 
特技監督円谷英二 
脚本関沢新一 
出演夏木陽介 
小泉博 
星由里子 
若林映子 
ザ・ピーナッツ伊藤エミ 
ザ・ピーナッツ伊藤ユミ 
志村喬 
伊藤久哉 
平田昭彦 
佐原健二 
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