ドラマ【ガンニバル シーズン2】感想(ネタバレ):因習と家族の物語が決着

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●こんなお話

 あの人に襲われつつ後藤家と村人と従属関係が崩れていく話。

●感想

 シーズン2は、大悟が生贄にされた子どもたちの行方を追うところから始まる。檻はすでに空で、背後には謎めいた「あの人」が立ちはだかる。森の中での追走劇の末、大悟は谷に転落し、妻の有希や娘のましろも襲撃を受けてしまう。

 一方、後藤家内部では当主・恵介を中心に権力争いが激化していた。弟の洋介や過激派の理らが動き、さらには駐在・狩野の娘であるすみれが恵介の子を身ごもっていることが明らかになり、緊張は一気に高まっていく。警察も内通者からの情報をもとに家宅捜索に踏み込み、後藤家と激しい銃撃戦を繰り広げる。大悟は監禁場所を突き止めるが、村人の山口や後藤理の襲撃を受け、窮地に追い込まれる。

 やがて物語は後藤家の因習の起源へと遡る。戦後の供花村で村人と後藤家に見捨てられた銀が、息子の白銀と共に人肉を食べて生き延びた過去が明かされる。銀はやがて一揆を扇動して後藤家に復讐し、その存在が「あの人」と呼ばれるものにつながっていく。村人は代々娘を差し出す因習に縛られ、河口尊も自らの娘を奪われていたことが語られる。

 現代では、白銀がましろをさらい、大悟と後藤家の対立は決定的となる。恵介は当主としての責務と人間としての良心の狭間で揺れ、大悟は家族を守るために立ち向かう。後藤家は警察と村人双方の圧力で追い詰められ、ついには村人に虐殺される。恵介を守ろうと動いていた岩男が病に倒れ「あの人」と化して襲いかかるが、恵介は岩男を刺殺し、最後は自ら責任を取って警察に投降。長年村を支配してきた後藤家は終焉を迎える。

 物語のラスト、大悟は刑務所で恵介と再会し、かつての敵同士が互いを「駐在」ではなく名で呼び合う場面が描かれる。供花村は後藤家の呪縛から解き放たれ、新しい時代に踏み出していく。大悟一家が村に残り、新しい生活を始める姿が暗示されて物語は締めくくられておしまい。

 シリーズを通して印象的だったのは、第2話や第3話で描かれる警官隊と後藤家との銃撃戦です。いきなり全面戦争に突入する迫力があり、もう最終回かな? という映像的にも大きな見せ場だったと思います。ただし後半は、スローモーションが多用されることで間延びした印象を受け、物語の緊張感が途切れる部分もありました。また、後藤銀の過去が丸々二話にわたって回想として描かれる構成もやや冗長で、テンポが落ち込んでしまった印象です。さらに、頭を撃たれても生き延びる人物が多く登場するなど、リアリティの面では引っかかる部分もありました。

 それでも、大悟と恵介の関係性の変化や、供花村という共同体を縛ってきた因習の断絶を描く大きなテーマは力強く、シリーズの見どころとして残るものだったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2025/09/15 Disney+

監督片山慎三
大庭功睦
佐野隆英
脚本大江崇允
原作二宮正明
出演柳楽優弥
笠松将
吉岡里帆
北香那
杉田雷麟
志水心音
中村祐太郎
倍賞美津子
六角精児
吉原光夫
酒向芳
中村梅雀
山下リオ
田中俊介
中島歩
岩瀬亮
松浦祐也
永田崇人
ジン・デヨン
恒松祐里
福島リラ
谷中敦
テイ龍進
矢柴俊博
高杉真宙
豊原功補
河井青葉
赤堀雅秋
大鷹明良
利重剛
二階堂智
橋爪功
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