ドラマ【ガンニバル シーズン1】(ネタバレ):村の掟が生む恐怖と孤立

Gannibal
スポンサーリンク

●こんなお話

 村に駐在でやってきたら人食い村かもだったり田舎のプライバシーない問題に悩んだりする話。

●感想

 警察官の阿川大悟は、かつての勤務先で誘拐犯を射殺した事件が原因で、山奥の供花村の駐在所に左遷される。妻の有希、娘のましろを連れて赴任した先は、美しい自然に囲まれた静かな村だったが、その安らぎはすぐに打ち砕かれる。前任の駐在が行方不明になっており、不穏な空気が漂っていた。

 大悟は着任早々、村の有力者・後藤家が執り行う葬儀に立ち会う。老婆の死体には獣では説明できない人間の歯型が残っており、村人たちは「熊の仕業」と片付けてしまう。異を唱える大悟に向けられる視線は冷たく、歓迎の裏にある拒絶の壁を彼は肌で感じることになる。やがて村人からは「後藤家の土地には近づくな」と警告を受ける。さらに夜の山中で駆けまわる“あの人”と呼ばれる巨体の存在もありつつ。

 過去の事件により心に傷を抱える大悟は、家族を守ることを支えに暮らそうとするが、娘のましろは後藤家の子どもと親しくなり、妻も村に馴染もうとする中で、自分だけが孤立していく。後藤家の若頭・恵介との対立は、警察権力と地元権力の駆け引きとなり、村の秩序を揺るがす緊張が高まっていく。さらに後藤家の内部にも不満分子が存在し、外部からはジャーナリストや警察の別のチームや神主さんや村の生存者などが加わることで、村全体の人間関係が崩れ始める。

 クライマックスでは大悟が後藤家の地下へ潜入。そこには檻に閉じ込められた人間の痕跡や不気味な祭祀の跡が広がっていた。やがて姿を現す「あの人」に襲われ、真実はすべて明かされることなく物語は終わりを迎える。

 村という閉ざされた空間を舞台にしたホラーとして、しきたりや監視の目に縛られた日本の共同体の息苦しさがよく描かれており、特にプライバシーのなさや「村の掟」を守るための異様な空気感には強い緊張を覚えることができてよかったです。

 その一方で、主人公が感情的にすぐ怒り、銃を向け合ったかと思えばすぐに和解するなど、人間関係の変化が唐突に見える部分は説得力に欠けていたように感じました。ただ、閉ざされた村で徐々に追い詰められていく恐怖と、異様な共同体の圧力が生み出す不気味さは印象に残る作品だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2025/09/11 Disney+

監督片山慎三
川井隼人
脚本大江崇允
原作二宮正明
出演柳楽優弥
笠松将
吉岡里帆
北香那
杉田雷麟
志水心音
中村祐太郎
倍賞美津子
六角精児
吉原光夫
酒向芳
中村梅雀
高杉真宙
タイトルとURLをコピーしました