ドラマ【FRINGE / フリンジ 〈フォース・シーズン〉】感想(ネタバレ):ピーター消失から始まる運命改変SF

スポンサーリンク

●こんなお話

 監視人たちの思惑でピーターが消失してしまい、皆の記憶からも消えてしまっている。こちらの世界あちらの世界でパターンが連続して、捜査する中、湖からピーターが復活して、フリンジチームに加わってチームと関係をイチから築いていく話。

●感想

 ピーター・ビショップが世界を救うため機械を起動した直後から、物語はこれまでとは異なる時間軸へ突入する。こちら側と向こう側、二つの世界の崩壊は回避されたものの、その代償としてピーターという存在そのものが歴史から消滅していた。ウォルターもオリビアもアストリッドも、誰一人としてピーターを覚えておらず、彼が存在していた痕跡さえ失われている。フリンジ・チームは以前と変わらず怪事件を捜査しているが、そこにはピーターだけが存在しない別の歴史が成立していた。

 この世界では、ウォルターはかつて異世界からピーターを連れ去っていないため精神状態が以前より安定している。一方でオリビアも、ピーターとの恋愛や深い絆を経験していない人生を送っていた。そんな中、人体が透明化し周囲へ溶け込む事件が発生する。細胞構造そのものが崩壊し、人間が姿を失っていく異常現象を捜査するオリビアとリンカーンだったが、その最中に突然ピーターが現れる。しかし誰も彼を認識できず、ピーター自身も自分だけが世界から切り離されていることを理解する。

 ピーターは自分が本来存在していた時間軸へ戻ろうとするが、周囲は彼を妄想や幻覚扱いする。唯一ウォルターだけが彼の姿を見始めるものの、精神病院生活の後遺症だと思い込み苦しんでいく。この頃からシーズン4は、失われた記憶と存在証明を巡るドラマとして色合いを強めていく。ピーターは観測者たちへ接触を試み、セプテンバーから「お前は消えたのではなく、この世界にとって余剰存在になった」と告げられる。つまり現在の世界は、幼いピーターが湖で死亡した歴史を前提に再構築された世界だった。

 その一方でフリンジ事件は相変わらず発生し続ける。人間へ寄生する微生物、時間が逆転する家、未来を予知する少年、人体が菌類化する兵器など、毎回のように異常現象は健在。こちら側と向こう側の世界は以前より協力関係を築いており、両世界を繋ぐ橋も試験運用されるようになる。向こう側のリンカーンとこちら側のリンカーンが交流するなど、かつて敵対していた頃とは空気が大きく変化していた。

 向こう側ではフェイク・オリビアことボリビアも継続して登場し、共同捜査を行う。二つの世界が共闘する展開はシリーズの大きな魅力となっていて、単なる異世界戦争ではなく、それぞれの世界が共存しようと模索する姿が描かれていく。

 しかしその裏では、デヴィッド・ロバート・ジョーンズが暗躍していた。彼はかつてウィリアム・ベルの部下だった男であり、異世界技術を利用して新しい世界秩序を作ろうとしていた。ジョーンズは改良型シェイプシフターを送り込み、両世界でテロ活動を繰り返していく。従来のシェイプシフターよりも人間性を持つ新型は非常に厄介で、フリンジ・チームを苦しめる存在となる。

 物語が進むにつれ、オリビアの中には本来の記憶が断片的に蘇り始める。夢のような形でピーターとの記憶を見始め、彼女は徐々にピーターの存在を認識できるようになっていく。ピーターもまた、自分を覚えてくれる存在が現れたことで強い希望を抱く。この辺りから二人の関係性が再び描かれ始め、シリーズらしい人間ドラマの要素が強まっていく。

 ウォルターもピーターを受け入れるようになるが、同時に父親としての感情と罪悪感が戻ってくる。以前の時間軸では、息子を失った悲しみから異世界のピーターを連れ去ったことが悲劇の始まりだった。しかし現在のウォルターは、その罪を犯していない代わりに、ピーターとの思い出も存在しない。そこへピーター本人が現れたことで、ウォルターは再び父としての愛情と喪失感に苦しむことになる。

 中盤以降は、ジョーンズが世界崩壊を引き起こす計画を本格始動させる。異常エネルギーを利用して空間を不安定化させ、二つの宇宙を再び破壊しようと暗躍する。さらにニーナ・シャープがジョーンズ側と繋がっているように見える展開もあり、チーム内部には疑念が広がっていく。

 そして死んだと思われていたウィリアム・ベルが生存しており、すべての黒幕だったのが判明。ベルは現在の宇宙を“失敗作”と考えており、二つの世界を犠牲にして新たな宇宙を創造しようとしていた。ジョーンズはその計画を実行するため動いていたに過ぎなかった。

 ベルはコーテキシファン実験によって特殊能力を持つオリビアへ目を付ける。オリビアの能力は世界間エネルギーを操作するレベルへ到達しており、ベルは彼女を新宇宙創造の核として利用しようとする。

 クライマックスではフリンジ・チームがベルとジョーンズの計画阻止へ動き出す。ウォルターは苦渋の決断としてオリビアへ薬物を投与し、彼女の能力を限界まで解放する。覚醒したオリビアは圧倒的な力を発揮し、ジョーンズを消滅させることに成功する。ベルの新宇宙創造計画も阻止され、二つの世界は再び安定を取り戻す。

 ラストでは、オリビアがピーターとの子供を妊娠している可能性が示唆される。しかしその直後、未来世界を支配するオブザーバーが現れておしまい。


 シーズン4は、それまで積み上げてきた“二つの世界”という設定をさらに拡張し、「存在そのものが消えた男」というテーマを持ち込んできたのが非常に面白かったです。ピーターが歴史から消え、誰にも覚えられていない状態から始まる展開はかなり大胆で、長く続いたシリーズだからこそ成立する物語になっていました。

 特に印象的だったのは、こちら側と向こう側の世界が敵対関係から協力関係へ変化していた部分です。以前までは互いに侵略し合う危険な関係だったのに、シーズン4では共同捜査や交流が描かれ、世界同士が共存しようとしている空気が強くなっていました。リンカーン同士の交流なども含め、異世界SFとしての面白さがさらに増していたと思います。

 単発事件のアイデアも相変わらず楽しく、人間が透明化したり、時間が歪んだり、菌類へ変化したりと、毎回違うSFネタを見せてくれるのが魅力でした。こうした一話完結型の事件を進めながら、裏では巨大な陰謀が少しずつ動いていく構成は本当に上手かったです。

 そして終盤になるにつれ、オリビアの能力がどんどん危険なレベルへ達していく展開も熱かったです。コーテキシファンによって強化された彼女が、もはや人間兵器のような存在になっていく描写はシリーズ後半らしいスケール感がありました。

 ただ、その一方でシーズン3までと比べると派手な超常現象や大規模事件が減り、全体的に予算縮小を感じる場面も多かったです。閉鎖空間や会話劇が増え、スケール感が少しコンパクトになっていた印象はありました。

 さらに今回は時間軸だけでなく、二つの世界、二つの歴史、さらに未来世界まで絡んでくるため、「今見ている人物がどちら側なのか」「どの記憶を持っているのか」を整理しながら見ないと混乱しやすかったです。特にボリビアやリンカーン周辺は感情の整理が大変でした。

 それでも、ピーターとウォルターの親子関係、オリビアとの絆、ベルの狂気的な思想など、人間ドラマの部分は非常に強く描かれていました。ラストで未来のオブザーバー支配世界が提示された瞬間は、「次はどうなるんだ」と一気に続きを見たくなる終わり方で、海外ドラマらしい引きの強さを感じました。

☆☆☆

鑑賞日:2014/07/08 Hulu 2026/06/06 U-NEXT

タイトルとURLをコピーしました