映画【SPIRIT】感想(ネタバレ):敗北と再生を描く感動の武術アクション

fearless
スポンサーリンク

●こんなお話

 武術の達人が調子乗って痛い目見て改心して武術家としてステップアップしていく話。

●感想

 少年時代、父親が武術家として大会に出場し、負ける姿を見て悔しい思いをして育った主人公。やがて彼自身も成長し、家庭を持ち、数々の大会で連戦連勝を重ねるほどの強さを手に入れる。栄光を手にし、周囲とともに飲み食いしてはツケを溜め込み、店の人たちを困らせるような姿も見られた。勢いに乗る中で弟子を育てるようになり、その名声は高まっていく。

 しかし、そんな彼の前にかつての因縁の相手が現れ、一騎打ちを申し込まれる。壮絶な戦いの末、相手を死なせてしまい、それが主人公に大きな衝撃を与える。そしてその復讐として、帰宅した彼が目にしたのは、家族が皆殺しにされていたという残酷な現実。

 深い喪失感と罪悪感から、弟子たちの前から姿を消し、主人公はひとり放浪の旅に出る。そして、田舎の村にたどり着き、そこで田植えをしながら穏やかな日々を過ごす。純粋な人たちとの出会いが、彼の心を少しずつ癒していく。

 やがて、両親の墓参りをしたいという思いを胸に、再び町へ戻ると、外国の格闘家が無差別に暴れている場面に遭遇する。武術の名誉を守るため、再び拳を握る主人公。見事勝利した彼は、最後に4対1の格闘大会に出場する。次々と敵を倒していく中、最後の相手は日本人武術家。だが、その戦いの直前に毒を盛られ、身体がふらつく状態になってしまう。

 それでも戦いをやめず、倒れながらも全力を尽くす主人公の姿に、日本人の相手も心を打たれ、潔く負けを認める。そしてその姿に、観客も感動。主人公は勝利という形ではなく、真の武術の精神を見せて物語は終わる。

 ジェット・リーのアクションが存分に堪能できる作品で、体術・棒術・刀術・三節棍など、多彩な武術が次々と披露され、どのシーンも見応えがありました。100分という短めの尺ながら、各シークエンスにはしっかり見せ場があり、テンポ良く飽きずに楽しめました。

 若き日の荒々しいジェット・リーの姿と、後半の成熟した演技のコントラストも見どころで、笑顔に宿る人間味が印象的。武術を通して人を倒すのではなく、自分自身を磨き、相手と理解しあうというメッセージも心に残ります。アクション映画でありながら、内面的な成長も丁寧に描かれた良作だと思います。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/10/29 DVD 2024/04/16 DVD

出演ジェット・リー 
中村獅童 
スン・リー 
原田眞人 
ドン・ヨン 
コリン・チャウ 
ネイサン・ジョーンズ 
タイトルとURLをコピーしました