映画【太陽の帝国】感想(ネタバレ)

empire-of-the-sun
スポンサーリンク

●こんなお話

 イギリスのボンボン少年が上海租界で戦争が自分たちにもふりかかりそうな危機的状況なのにゼロ戦に憧れている。そして日本軍が上海に乱入してきて逃げる途中で両親とはぐれて1人でサバイバルしていくという話。

●感想

 ひたすら主人公の少年の目線で戦争が描かれていくのが面白かったです。収容所の過酷な状況でも少年には敵も味方も関係なく、孤独と戦い飢えと戦うために、最初は弱弱しく見ていて不安になる描かれ方でしたが。しだいに強く成長し生き抜いていく。
 大人たちは疲れ果て希望がなく生きていきますが、その足元をスピード感いっぱいに駆け抜けるカメラワークなんかも最高でした。ただただ飛行機が好きで、ゼロ戦もP51も大好き。飛行機が飛び交う中、歓喜の声をあげますが。実は少年は孤独や辛さに耐えきれずに「両親の顔を忘れてしまった」と泣く姿は見ていられなかったです。あのシーンでいかに辛い状況だったのかを説明してくれる素晴らしいシーンでした。

 ジョン・マルコビッチさん演じる主人公が慕う兄貴分も主人公を救うことなくだまし続けたり、伊武雅刀さん演じるナガタ軍曹も主人公と心を通わすことがないのもよかったです。大人たちのサバイバルの中で、ピュアな部分を持ち続ける少年。

 映像も素晴らしく、特攻に飛び立つ将兵たちの夕日の美しさ。ゼロ戦を見つけて駆け寄り、そこに将兵がやってきて少年が敬礼すると姿勢を正して敬礼を返すときの美しさ。
 モブシーンの迫力も凄くて、一体何人の人たちが同時に画面の中で動いているのか。 

 とはいえ戦争の悲壮感などは皆無でどうやってサバイバルしてるんだろう? とか、少年うるさいなとか、少年が自分の家に帰った時に中にいた日本兵が変な格好でわらわらと出てきたりする所か、あら? と思ってしまうところもありますが。そんなのはあら探しに過ぎないです。
 信じる者、頼れる者に裏切られる気持ち。異文化の不気味さ、社会の不条理を描いている素晴らしい映画だと思いました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2013/06/15 Hulu

監督スティーヴン・スピルバーグ 
脚本トム・ストッパード 
原作ジェームズ・グラハム・バラード 
出演クリスチャン・ベール 
ジョン・マルコヴィッチ 
ミランダ・リチャードソン 
ナイジェル・ヘイヴァース 
伊武雅刀 
タイトルとURLをコピーしました